2006年12月03日

【展】仏像:一木にこめられた祈り

仏像展上野の東京国立博物館・平成館にて開催されていた「仏像〜一木にこめられた祈り」
仏像についての知識はないのだけれど、京都とかにたびたび足を運んでいると、やっぱり仏像にもちょっと興味がわいてくるというか……仏像を見るなら、奈良のほうが良いのでしょうが。
なので、今回は前もって買っておいた芸術新潮11月号でしっかり予習。
展覧会は「檀像」、8世紀後半から9世紀前半の「一木彫」、10世紀後半から12世紀の「鉈彫」、そして一気に時代は江戸時代に飛んで「円空と木喰」の4つのテーマに分かれて構成。

仏像展_十一面観音今回、もっとも見たかったのは、滋賀県向源寺の「十一面観音菩薩立像」
美しい立ち姿と穏やかな顔立ちで、多くの人をとりこにした仏像だ。展示会場でも一番人気。
なるほど、聞きしにまさる立ち姿の美しさ。腰をちょっとひねった具合が、実になまめかしい。顔もツルリときれいで、とても柔和な表情だ。頭上や後頭部の面もきれいな状態。それに、長い手足。腕なんか、ちょっと長すぎるんじゃないかと思うくらいだ。手先が膝のあたりまで伸びちゃっている。
会場では、十一面観音菩薩の周囲にたくさんの人が集まって見上げているのだが、ちょっと離れてこの光景を眺めると、演出の妙というか、観音菩薩さんが我々を優しく見てくれているようで、何とも神々しい雰囲気。

他に人気があったのは「宝誌和尚立像」
中国の宝誌和尚の伝説を表した、なんとも奇怪な一品。
この仏像には、以前、京都国立博物館でお目にかかったことがある。

個人的に気に入ったのは、神奈川県宝城坊の「薬師三尊像」。
三体とも柔らかな表情で、とくに左右の脇侍は、よく見るとかわいらしくもある。
当時の都の仏像に比べたら、田舎くさい感じなのかもしれないけど、柔和で素朴なたたずまいが、なんとも温かい。ほんわりとした雰囲気。実際にお寺で見てみたい。

そして円空と木喰。
円空の素材の生々しさを生かした木彫りの造型は、前衛的でもあり、原始的でもあり……と、現代の尺度で測ればいろいろと喩えようもあるのだろうが……こうした手法をやってのけた円空という仏師は本当に不思議な存在だ。
木喰は爺さんになってから彫りはじめた仏師。ふっくらツルリとした仏像たちの微笑みを見ていると、人生の喜怒哀楽というか、苦楽というか、そういうものを超越して、生きていくなら笑ったものが勝ちさ!という達観を感じないではいられなかった。

こうやって多くの仏像を時間をかけてゆっくり見たのは初めてのことだったので、なかなか良い経験だった。

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