2007年03月21日

【展】アルフレッド・ウォリス展

イギリス南西部の港町セント・アイヴス。
男はここで船具を商う店を営んでいたが、70歳になってから突然、独学で絵を描き始めた。
これだけのことならば、男の名前は世に出ることはなかったのだろうが、偶然の悪戯は時に面白い出来事をもたらす。1928年にセント・アイヴスを訪れた画家のベン・ニコルソンらが、たまたま男の家の前を通りかかり、そこで彼の絵を眼にしたことがきっかけとなって、男の名前は世の中に紹介されたのだった。
男の名前はアルフレッド・ウォリス。



……というわけで、東京都庭園美術館にてアルフレッド・ウォリス展

画題の多くは、海に関するもの。帆船、汽船、灯台、港街の風景。
それらはウォリスの生活そのもの。
厚紙の切れ端や板といった粗末な画材に描かれたそれらの素材は、ものの大小や遠近はめちゃくちゃなのだが、それゆえに大らかな雰囲気があり、画面の中に描きたいものをすべて詰め込むんだという純粋さにあふれている。
70歳になってから画業に打ち込みはじめた老人は、変わりゆく港町の風景の中で、過去の記憶をひとつひとつ拾い出し、懐かしみ、慈しむように描いたのだろう。そういう画だった。



これは美術館本館。1933年建築の旧朝香宮邸。アール・デコ風。

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