2007年05月05日

【展】日本美術が笑う/笑い展

この連休まで行われていた展覧会に、駆け込みで行ってきた。
まずは六本木ヒルズ、森美術館の「日本美術が笑う」
「笑い」をテーマに、副題にある通り、縄文から20世紀までの美術を集めたもの。
会場では、まずは土偶や埴輪が「ニッコリ」と我々を迎え入れてくれる。……という具合に、作品そのものが「笑っている」ものから、見ている我々の「おかしみ」を誘う作品、作品の愛らしさに思わず「笑み」がこぼれてしまう作品などを展示。
したがって、特定の時代、あるいは特定の傾向を持つ作品群をガッツリと見たい人には、物足りないかもしれない。副題に「若冲、白隠、円空、劉生」とあるけれども、彼らの作品を期待して勇んで足を運ぶと、あんまり大したことがないのが実際のところ。とはいえ、美術入門として見れば、なかなか面白い視点での展覧会だった。

日本美術が笑う

面白かったのは、河鍋暁斎の「放屁合戦絵巻」。
文字通り、オナラ大戦争。おまけに、中身も出ちゃってます。
さすがに絵巻全部を広げて見せることができないので、ディスプレイで横スクロールして全部を見ることができるという具合に、見せ方も工夫されていた。すごいナンセンス。

それから、長谷川巴龍の「洛中洛外図屏風」。
町を歩く人物たちの描写は稚拙でコミカル、建物の描き方にしても輪郭とかバランスもぐにゃぐにゃ。要するに、ヘタクソ。今で言うところの、脱力系アートか。
また、これは落款が面白い。「長谷川法橋巴龍」とあるのだが、とても法橋の位に就くような技術の持ち主とは思えない。要するに「自称、法橋」。そもそも長谷川巴龍なんて人は、どの資料にも名前が残っていない。「あんた、誰?」とツッコミを入れたくなる珍品。
けれども、こういう屏風をわざわざ発注して描かせる人がいるのだから(屏風を描くにも画材はそれなりにお金が掛かるはずだし…)、江戸時代の頃から「ヘタうま」を求める人の感性というものは存在していたのかもしれない。
それにしても、この屏風を描いた巴龍さんも、まさか後世の我々にまで「うわっ、ちょーヘタクソ(笑)」と笑われるとは思っていなかっただろうな。いや、巴龍さんにしてみたら、脱力系アートの真骨頂ここにあり!……と、あの世で鼻高々なのかもしれない。
笑い展

「日本美術が笑う」をひととおり見終えると、同時開催の「笑い展」へ。
こちらは現代アートにおける「おかしみ」。
展示作品は「こんなありえないもの作ってみました」「こんなのおかしいでしょう」的なもの、多々ある映像作品にしても「小ネタ披露」的な感じ。うーん……シュールを芸風にしている芸人さんの発想に近いのかも。
同じようなことを芸人さんがやれば「お笑い」で、アーチストがやれば「アート」だ……と世間は区別するのかもしれないけれど、その境界は何なのだろう?と感じてしまった。あるいは、この展覧会の性格が、そう感じさせたのかもしれない。

というわけで、森タワーには展望台観光に訪れる家族連れもとても多いので、「日本美術が笑う」も「笑い展」も、そういった客層をつかむには、キャッチーなテーマだったといえるだろう。

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