2007年08月23日

東福寺の重森三玲(5)方丈庭園

こちらは西庭の「井田市松」の庭。
通天橋の景色を背景に借りて、とくに秋深まった紅葉の季節の眺めが素晴らしい。
南庭の白砂と巨石による表現から一転して、とても色彩豊かな庭だ。



砂地とサツキの刈込みが市松模様を描く(左)。
一方の方丈北庭は「市松の庭」と呼ばれる(右)。
どちらの庭にも、幾何学的なデザインへの取り組みがうかがわれる。



北庭の市松模様を作る石は、もともと方丈南の恩賜門内にあった敷石を再利用したもの。
写真を撮った日は晴天で日差しが強く、スギゴケは日陰と日なたでくっきりと色が分かれてしまった。スギゴケは乾燥に強く、日中はこうして葉を閉じて休んでいる。枯れて痛んでしまっているわけではありません。



最後に東庭「北斗の庭」。
北斗七星の配置で構成された石は、東司(便所)の柱石の余りの再利用だ。



南庭の巨石による表現と、廃材・余材の石での表現との対比もまた、東福寺方丈庭園の面白いところだ。
四者四様の表情を見せる庭のデザインもさることながら、北斗の庭や市松の庭に見られるように、本来は捨てられるべきであった石を再利用して庭を構成するなど、重森三玲が自由な精神で庭造りに取り組んだことをうかがわせる。

(※写真をクリックするとちょっと大きな画像を表示します)

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この記事へのコメント
スギゴケってこんなに光で色変わるんですね!
Posted by at 2007年08月24日 01:46
ウマスギゴケ、というらしいですよ。
スギゴケの美しさを見るなら、やっぱり雨の日がいいですね。
晴れると葉をひらいてくれないので、ちょっと色彩的にもさびしいです。
Posted by 石庭 at 2007年08月25日 00:16