2007年09月12日

晩夏の上賀茂神社(2)

この石段の向こうは、摂社・新宮神社、末社・山尾社を祀る。



(右)これも摂末社のひとつ。
(左)玉橋の向こうは楼門。門をくぐると本殿。



残暑の頃の上賀茂神社の夕暮れの風景といえば、藤原家隆が詠んだ歌があり、これは百人一首にも選ばれている。

 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける

夕暮れ時のならの小川は、風がそよそよと音を立てて、すっかり秋の気配となっているけど、六月祓(みなづきばらえ)の禊だけが、まだ今が夏であることを知る証だった……というようなことを詠んでいる。
現在でも6月30日に六月祓(夏越の祓)が行われ、心身の穢れを祓い落とすわけだが、昔は当然、旧暦の6月30日にこの行事は行われていた。今でいうと、8月の上旬、残暑の頃。
風そよぐならの小川の…という雰囲気を味わうならば、六月祓の頃というよりは、残暑の季節がしっくりくるだろう。
この舞殿の下を「ならの小川」が流れてゆき……



境内の木立の中を流れる清流で、人々が足を浸して涼を得る風景が見られる。
水はひんやりと冷たく、しばし暑さも忘れて一日の終わりの時間を過ごす。
風そよぐ ならの小川の 夕暮れは……さっきまで吹き出していた汗とともに、ちょっとだけ心身の穢れを祓い落として、リフレッシュした気分になる。



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この記事へのコメント
おひさしぶりです。

上賀茂神社へようこそ・・・と言うのは一応散歩で行く距離の限界くらいのところに居るものですから。

かぜそよぐ〜の夏の宵ですが、蒸し暑くなりかけた陽暦の6月末日、つまり現今と、本来の盛夏との体感的な感覚に関して。
真夏だともう日中の暑さにグロッキーで、夕方くらいでは未だ焦熱感が残っていて・・・と言った感じが現代京都です。
そう言うわけで、(実際は不合理なんですが)今の夏越の祓いは結構いい感じ〜歌の感じにぴったり〜ですよ。

又当方へもお寄り下さい。
Posted by sango at 2007年09月21日 16:18
sangoさん、ご無沙汰してました!
夏のイメージというと……
6月ですと、まだ梅雨も明けずに空は雲に覆われ、空気は澱み、ジメジメとした感じ。
8月もお盆を過ぎる残暑の頃には、空気も澄んで日差しも強く感じられ、
そして9月になると、まだまだ昼間は日差しが強くて暑いものの、夕方になると過ごしやすくなる、
……と、夏は夏でもいろいろですね。

この「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは……」の歌は、実は9月がいちばん近い雰囲気なんじゃないかと思いました。
昔と今ではもちろん季節のめぐりが違いますし、昔よりは暑さが長引いて(9月までずれこんで)いるでしょうから、
秋の気配が混じりかけた風がそよぐという雰囲気は、9月なのかなぁ…と。
残暑の8月といえども、まだまだ秋の雰囲気には遠いですしね!

関東も昼間はまだまだ暑いですが、朝晩はすっかり過ごしやすくなってきました。京都はいかがでしょう?
Posted by 石庭 at 2007年09月22日 00:22