
なだらかな坂を上がっていくと、毘沙門堂に辿り着く。
さらに急な石段を登ると本堂。
ここまで来ると、あたりは静かで、山の中の鄙びたお寺にやって来たような雰囲気を味わえる。
勅使門へとつづく美しい参道。開かずの門なので、こちらからは入れない。

霊殿と宸殿をつなぐ廊下。

宸殿の障壁画116面はすべて、狩野探幽の養子の狩野益信(1625〜1694)が手掛けたもの。
九老之図、四愛図、梅花禽鳥図など。
これらの障壁画において、益信はとても遊び心に富んだ試みを行っている。
たとえば九老之図では「逆遠近法」という技法を用いて、錯覚を利用した一種のトリックアートを試みている(曼殊院でも同じトリックの襖絵を見ることができる)。
また、梅花禽鳥図(梅の間)では、梅に山鳥(本来は鶯)、竹にヒヨドリ(本来は雀)と、本来の組み合わせとは異なる鳥を描くことによって、言葉遊びの謎かけをしているのである。
すなわち、この<梅の間>に通された客は、放っておかれたままになるそうな。
さて、なぜでしょう……