2007年10月17日

【本】アジア古都物語 京都−千年の水脈

アジア古都物語 京都 千年の水脈日本放送出版協会、2002/11

もう5年も前の本ですが、図書館の本棚をあてもなく目で追っているときに、偶然にも発見したので、手に取ってみた。

京都が他の大きな都市(たとえば東京や大阪や名古屋)と比較して違うところを挙げようとすると、人によってその例はいろいろなのだろうけれど、京都の独自性といえば、僕は何よりもまず「きれいな水のある都市」ということを思い浮かべる。
市の中心を鴨川が流れ、人々がそこで憩う姿がある。京都御苑の周囲を歩くときに空のペットボトルは必携で、神社の境内で美味しい水を手軽に手に入れることができる。のみならず、繁華街の中にあってさえも、きれいな地下水で喉を潤すことができる。
きれいな水と人との風景は、他の都市部にはないものだ。

というわけで、京都の「水」に関しては、僕も前々から興味津々だったので、この本は楽しく読むことができた。
歴史的なアプローチから、あるいは科学的なアプローチから京都の地下水脈の姿に迫る。曰く、京都の地下には巨大な水がめがあり(水盆構造)、水の総量は211億トンにもなるのだとか。
また、興味深かった記述は、下鴨神社から京都御所を経てかつての神泉苑(現在の二条城付近)に至るまでの地下には豊富な水脈があり、中世京都の人々はこの水脈の上に、政治や神事における重要な場を築いてきた、というもの。
梨木神社の「染井」、錦天満宮の「錦の水」、あるいは下御霊神社の水や堀野記念館の「桃の井」なども、同じ水脈の上にあるのかなぁ……と考えてみたり。

【目次】
千年の水脈たたえる都
 ・バスから見えた都の原風景
 ・京の雅を支えた奇跡の水
 ・馬琴も惚れた鴨川の水の不思議
 ・姿を現した巨大な水甕
 ・都の水源「カモ」の聖地
 ・「鴨脚」を名乗る一族
 ・一直線に並ぶ「緑の道」
 ・千年の叡知、そして現代の危機
京都の地下水
 ・地下水とは何か
 ・京都盆地の地質構造
 ・京都水盆
 ・京都盆地の水脈
Asian Talk 水の都・平安京
 ・鴨川と葛野川
 ・平安京内の川
 ・貴族と庭園
 ・平安京の都市民と水

http://www.amazon.co.jp/dp/4140806923/

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