2008年07月14日

【展】対決 巨匠たちの日本美術(前期)

7月8日から東京国立博物館で始まった「対決 巨匠たちの日本美術」に足を運んだ。始まって最初の週末ということで、混雑を予想していたが、意外にも会場の人の流れはスムーズだった。
国宝や重文の作品が多く出品されるとあって、ずっと見たいと思っていて初めて実物を見ることができた作品もあり、また、京都のお寺や他の展覧会で見たことのあるいくつかの作品とは「再会」をすることもできた。

雪舟「慧可断臂図」
岩に向かって坐る達磨と、弟子になる決意を示すために切断した自分の腕を差し出す慧可。
周囲の岩肌の描き込みと、達磨を描くシンプルな線描が対照的で、雪舟の大胆な画法を目の当たりにすることができる。ただ、達磨の衣服を描く線は一気呵成に描き上げたものではないらしく、ところどころ筆が止まって墨が濃くなっていたりするところが微笑ましい。

狩野永徳「松に叭叭鳥・柳に白鷺図屏風」
永徳作と新たに認定された初公開作品。永徳作品は、他に「檜図屏風」や京都聚光院の「四季花鳥図」など。「四季花鳥図」は一部のみであったので、まったく物足りない。聚光院で見たときの感動には遠く及ばなかった。

伊藤若冲「仙人掌群鶏図襖」「石灯籠図屏風」
大阪西福寺の「仙人掌群鶏図襖」は、金地の上に、ポーズをキメまくった鶏たちを描いた、いわゆる若冲らしい一枚。「石灯籠図屏風」は、点描で石灯籠を描いた雄大な屏風絵。19世紀ヨーロッパの点描主義に先駆けること100年、若冲はコツコツと屏風の上に墨を点々と置いていったのだった。

曽我蕭白「群仙図屏風」
不穏なパワーに満ち溢れた、蕭白の倒錯した変態ワールドが炸裂した一枚。なんかもう、気持ち悪いっす。でも最高。

長沢芦雪「海浜奇勝図屏風」
芦雪は「魅せる」人だと思う。何かやってやろうというアイデアと魂胆を秘めた、一芸の画家だ。この屏風絵も、金地の上に墨を叩きつけるようにして奇岩を描く。

他にもいろいろと見どころのある作品ばかりだったのだが、会場で気になったこともいくつか。
まず、展示作品の照明。どれもこれも同じように照明を当てているので、全体的に平板なものに見せてしまっている。
たとえば、長谷川等伯の「松林図屏風」は、白く明るいライトを当てることで、この作品が持つ仄暗い幽玄さが失われてしまっている。わざわざ混雑した会場で見ずとも、毎年の1月に静かに国宝室で眺めるほうが、より大きな感動を得られる。
俵屋宗達の「松図」にしても同様。照明のおかげで、何だか明るい襖絵になってしまっている。京都の養源院では、血天井と隣り合わせに、薄暗く湿っぽい空気の中で「松図」を見ることができるのだが、とても同じ襖絵を見ている気分にはなれなかった。
それから、もうひとつ気になったのが、展示ケースの枠がかなり目障りなこと。
襖絵や屏風絵といった横に長い作品が数多く展示されているのだが、会場のガラスケースの枠が、せっかくの作品をブツ切るように入り込んでくる。これはもうちょっとなんとかならないものか……と感じた。

……と、まぁ、会場の構成や作品の見せ方には工夫の足りなすぎる部分もあったりするけれど、これだけの作品を一度に見れると思えば、十分に満足のいくものだった。……いや、せっかくこれだけの作品を一度に展示するのだから、もっときちんと考えて展示しろ!……という考え方もあるかもしれない。
後期は、俵屋宗達と尾形光琳の「風神雷神図」の展示があるので、もう一度くらいは足を運ぶことになるだろう。なんと「風神雷神図」屏風の競演は、最後の1週間のみなのだ。

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この記事へのコメント
石庭さん

いい情報ありがとうございます!
週末、行ってみます!

Posted by hayate at 2008年07月15日 10:01
>hayateさん
お、さっそく行ってしまいますか!?
もうひとつ東京国立博物館の記事を書いておきましたが、
平常展の仏像コーナーも熱いです!こちらもぜひ!
Posted by 石庭 at 2008年07月16日 00:15