自然界の石を神格化し、崇拝していたのが、磐座(いわくら)や磐境(いわさか)と呼ばれるものだった。
松尾大社の背後の松尾山にも磐座があり、社殿を建てる以前より、神として祀られてきた。

その磐座にインスピレーションを受けて、重森三玲が作ったのが「上古の庭」。
重森三玲は、これらの立石を「神々の意思によって据えられたもの」と定義している。

岩々の周囲を埋めつくす笹が、我々鑑賞者との距離を遠ざけるようであり、なるほど庭として鑑賞するには、優雅さや親しみやすさとは無縁の、強い意志の上に屹立しているようでもある。