といっても、ほぼ奈良との県境、アクセスも奈良市内からの方が便利なので、奈良のお寺という印象が強いかもしれない。アクセスは、近鉄奈良駅前からバスで揺られること約20分。車窓の景色は、市街地から山間の田園風景へと、あっというまに様子を変える。

浄瑠璃寺では、まずはこの三重塔に安置されている薬師仏(といっても見れない)に救済を願い…

そして、池越しに対岸の九体阿弥陀堂を眺め、阿弥陀如来が迎えに来て極楽浄土に迎え入れてくれることを願う…というのが礼拝のかたちなのだそう。
平安時代に流行した浄土思想を色濃く残すお寺です。

さて、この本堂でもある九体阿弥陀堂。
お堂の中に足を踏み入れると、九体の阿弥陀仏が静かに座っている様子に、ただただ言葉もなく厳粛な気持ちにさせられる。
九体の阿弥陀仏は柱と柱の間に一体ずつ収まり、それぞれの阿弥陀仏の前には障子戸、外側には板扉が取り付けられており、お堂全体が九体の阿弥陀仏の厨子となるように作られている。
つまりは、本来は内部を拝観するものではなく、外から拝むことを想定している。それゆえに、仏像の大きさに比べて、堂内は狭く感じるのである。