白川沿いに建つのが、七宝家である並河靖之の自宅兼工房だった並河靖之七宝記念館。
春と秋の展覧会の期間のみ、並河靖之の作品とともに建物と庭が公開される。
以前から訪れたいと願いつつも、なかなかそのタイミングに恵まれなかったのだが、この秋、ようやく訪問することができた。

建物は明治27年建築。
庭園は七代・小川治兵衛(植治)による。無鄰菴庭園や平安神宮神苑など、この南禅寺・岡崎界隈には植治の手掛けた庭が数多く残っている。

お目当ての第一はこの庭園だったのだが、いやいやそれが、並河靖之の七宝の美しいことったら、そりゃあもう、まじまじと見入ってしまうほどに目を奪われてしまった。
端正にデザイン化された装飾的なものから、どこか温もりの感じられる絵画的な作品まで。それから、七宝作りの工程を解説した展示もあって、僕のような初心者でも楽しむことができた。
こうした新たな驚きとの出会いに、また新鮮な気分で京都散策を楽しむことができた一日となった。