迷っていたのだ。
ここに来るたびに、赤い鳥居に異界へ誘われるような気分に陥る。

次から次へと、鳥居の奥へと人が吸い込まれていく。もう彼らとは、二度と会うこともないのだろう。
だって、その鳥居の向こうには。

ちょっと調子に乗って、鳥居の道から脇にそれてみたり。

それから、近道だろうと思って、鳥居から離れて、ぐんぐんと横道を歩いていったら、

すっかり迷ってしまったのだった。いったい、なんだっていうんだ。

何者かが僕のことを見ていた。
視線を感じて振り返ると、そいつらは僕から目をそらしたのだ。とぼけやがって。

頭の上でカラスが鳴いた。大きなカラスだ。漆黒の闇のような色をしていた。
恐ろしくなって、僕は走ってその場を立ち去った。赤い鳥居を探しながら。
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Posted by rock_garden at 23:30│
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