2009年03月01日

【展】高梨豊 光のフィールドノート

高梨豊展東京国立近代美術館にて、写真家高梨豊の個展「光のフィールドノート」
会場で配布されているB4紙のガイドを片手に、解説を読みながら見ていったのだが、この作家は、なるほど、かなりカッチリとした理論のもとに作品を生み出していることが垣間見えた。
時間と空間の捉え方。その二つの軸が、作家の方法論を大きく支えている。二つの軸の狭間で、作家は様々に機材や手法を変えながら、都市を写し出していく。

1960年代の高度経済成長期は、「東京人」や「都市へ」によって、加速する時代とともに大きく変貌していく都市の姿を、スナップショット的にスピード感ある描写で写していく。
時代のスピードが落ち着いた1970年代後半〜80年代初めは、「町」や「新宿/都市のテキスト」などに見られるように、一転して三脚や大判カメラを用いて、じっくりと「記録する」ような手法を試みる。
1980年代に入ると、夜景の中に近代建築を写して近代都市の原型を探る「都の貌」や、神話的な土地の原風景を求めた「初國」など、時間を遡る試みがなされる。90年代以降は、同じ地名の風景を2点組で撮った「地名論」や、現代都市の姿とそこに隣接して古い姿のまま残された事物を写した「ノスタルジア」といったように、時間と空間はさらに重層性を帯びていく。

時代とともに歩んだ写真家の数々の試みを、頭を悩ましながら時系列で追っていくのは、何ともスリリングな体験だった。
良い展覧会でした。

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