山の陰に隠れていた朝の日差しが、
やがて山の向こうから姿を現し、縁側をやわらかな朝日が包み込んだ。
明恵上人(1173〜1232)が高山寺を再興した時代の唯一の遺構、石水院。
後鳥羽上皇から学問所として賜ったこの建物は、もともとは境内の奥に金堂と並んであったものを明治時代に移築したもの。
写真では山深く静寂に見える雰囲気も、実は、石水院のすぐ下を国道が走っていて、日本海側へ抜ける輸送トラックなども多く、ましてや交通量の多い観光シーズンは、車のエンジン音でとても騒々しい。
この素晴らしい眺めを前にした視覚の楽しみとは裏腹に、実に残念な気分にさせられる。これも致し方ないことか。