2009年06月14日

【展】日本の自画像

日本の自画像世田谷美術館にて、“写真が描く戦後 1945-1964”というサブタイトルが付けられた写真展「日本の自画像」を見る。敗戦から東京オリンピック開催までの20年弱の間の日本を、石元泰博、木村伊兵衛、土門拳、長野重一、濱谷浩、林忠彦ら、戦後写真界をリードした人たちの作品で振り返るという企画。
当然、この時代をリアルタイムで知らない僕なので、この戦後の20年を写真で俯瞰すると、本当に不思議な気分にさせられる。敗戦の挫折と混乱の中にあった街(東京)が、それからわずか10年ほどで(1950年代)都市の日常の歩みを取り戻し、やがて高度経済成長に突入していく。僕の感覚からすると、それが「わずか20年」での出来事なのだということが信じがたい。
しかし、一方で、都市の発展の裏には陰の部分もある。街の中にも、戦争の傷痕や、相変わらずの貧困に喘ぐ人たちがいる。
さらに、地方に目を向ければ、都市の近代化とは無縁の場所で、厳しい風土と、その土地の伝統とともに生きる農村や漁村の人たちがいる。

展覧会場の中でいちばん印象に残ったのが、ほぼ同時期、1960年代の都市と地方を写した2枚の写真だった。隣りあわせに並べられた2枚の写真は、ともに“見る”という行為の真っ只中にある集団の「顔」たちを写したものだった。
1枚は銀座のファッションショーを眺める群集の顔。もう1枚は、地方の学校の教室で、たった1台の小さなテレビを集団で見ている子供たちの顔、顔、顔…。
この2枚の写真には、都市と地方という、戦後の写真家が取り組み続けたふたつの日本の姿が端的に表われており、この展覧会のテーマをもっとも象徴するものだと感じられたのだった。

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