道しるべのしめす方へ。
やって来たのは、だるま堂こと慈氏院。
門前には夏の歌。
おしめども とまらぬ春もあるものを いはぬにきたる 夏衣かな
惜しんでも季節の流れが止まらずに去ってしまう春もあるというのに、来てほしいと言ってもいないのに夏が来て、夏の衣を着てしまった。
このような意だろうか。「きたる」が「来たる」と「着たる」の掛詞になっている。詠み手の素性法師という人は、きっと、夏が嫌いだったのだろう。
境内の隅には、だるま堂。石像の達磨大師、それから、張子のだるまの置物がおさめられている。