2009年10月16日

金沢の庭園(2)成巽閣

兼六園に隣接する成巽閣(せいそんかく)は、加賀藩前田家の13代藩主斉泰が、母である真龍院(12代斉広夫人)のために建てた隠居所。
建物の中は残念ながら撮影ができないのだが、障子の腰板の部分に目を落とすと、鮎や貝や亀や蝶の画が描かれていて、それぞれに「鮎の廊下」「貝の廊下」といった優美な名前が付けられ、この建物を見回してみても、なるほど女性の隠居所らしく、とても女性的で、ゆったりとした印象を受けるのだった。



「つくしの縁」から眺める庭園。
何だかちょっと様子が違うな……と気が付いた人は、とても鋭い。この縁、庭を開放的に眺めるために、軒先を支える柱をいっさい設けていないのだった。空間が広がって感じるのは、そのためだった。
ただし、強度を保つために、屋根の内側に「桔木(はねぎ)」という建材を用いて、てこの原理で軒先を支えている。



この日は、茶室「清香軒」を公開していなかったので、受付でその旨を尋ねてみると、混雑が予想されるので本日は休止している、との答えだった。
僕が少々残念がっていると、なんと、受付の女性が融通を利かせてくれて、他の拝観客がいるにもかかわらず、特別に「清香軒」の方へと案内してくれたのだった。
これには感激をしないでいられなかった。おまけに、僕ひとりのために、あれやこれやと説明までしてくれる。ありがたいやら、恐れ多いやら。

茶室というと、狭くて、薄暗くて、さながら主人の作り出す小宇宙ともいえる空間の中で、ピリッとした緊張感を強いられるというイメージであるのだが、この清香軒は、たとえば壁の色合いにしても、ゆったりとした間のある室内にしても、女性の隠居所ならではといった雰囲気だった。

左の写真は、茶室に至る露地。
ふつう、露地は屋外にあるものだが、清香軒の露地はすでに室内に取り込まれている。冬は雪の多い日本海側ならでは気遣いで、客はこの屋根の下で雪を払うことができる。

清香軒の庭園「飛鶴庭」は苔と鑓水が美しい。この日は屋根の葺の修理のため、足場が設けられていた。




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