2009年12月03日

東京の秋・旧安田楠雄邸

東京の知られざる名建築。



茶の間で木漏れ日のぬくもりを感じながら、庭を眺めると紅葉がちょうど見頃。



2階に上がると、さきほど眺めた紅葉の木が、窓のすぐ向こう、手を伸ばせば届きそうなところにある。
秋をいちばん身近に感じる場所。



書院に差し込む晩秋の日差し。窓の上に施された装飾の美しさに目を惹かれる。



根津神社を裏から出て、千駄木方面へと足を伸ばし、やって来たのは、旧安田楠雄邸。
大正8年(1919年)建築の、近代和風住宅です。
もともとは遊園地「豊島園」の開園者として知られる藤田好三郎氏の邸宅だったものを、安田善四郎氏(安田財閥の創始者安田善次郎の娘婿)が購入し、その後、善四郎氏の長男の楠雄氏が相続。平成7年に楠雄氏が他界すると、夫人の幸子さんら遺族が、この邸宅を財団法人日本ナショナルトラストに寄贈し、修復を経て、現在はその管理のもとで一般に公開されている。
2階の大広間。
畳もとてもしっかりと作ってあるようで、なるほど、畳といえば固いものというイメージがあるけれども、この広間の畳は、踏みしめてみると、足の裏に伝わってくる感触にふかふかとしたやわらかさがある。



1階応接間。
ソファ、2段になった機能性のあるテーブル、冬の寒い時に手をあぶるために火を入れる台、蓄音機、ピアノなど、当時の家具などが残る。曇りガラスも手作りのもので、現在では同じものを作ることができない貴重なガラス。カーテンも80年くらい前のものがそのまま残っている。



サンルームからの庭の眺め。



台所には、システムキッチンの走りともいえる、当時最新の機器。冷蔵庫やガスコンロも当時のもの。



茶の間。



客間から眺めた庭園。幸子夫人は晩年の日々をこの部屋で過ごし、この景色を愛したという。



客人を通すための主玄関は土間が広く、敷台も広々としている。ふだんの通用時には、これとは別の小さな内玄関を使用していた。



旧安田楠雄邸では、ボランティアのスタッフの方が説明をしながら案内をしてくれる。
ひととおりの説明が終わったあとは、邸内を自由に見学することもできる。特別な展示イベントがないかぎりは、現在のところは、写真撮影も自由だということだ(もちろんフラッシュはNGだが)。
この邸宅は、かつてここに暮らしていたご家族の方たちに、とても大切に使われていたのだろうと感じることのできる、あたたかみのある場所だった。

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