2009年12月12日

【展】小野幸吉展

小野幸吉山形県酒田市にある本間美術館で見てきたのは、1909年に酒田に生まれ、わずか20歳にして病のために夭折した画家、小野幸吉の回顧展。
このチラシの画からも見て取れるように、小野幸吉はフォービズムの流れを汲んだ画風であるのだが、病に冒されつづけた彼にとっては、この画風を選択したことはごく自然な発露だったのではないかと思えてくる。
カンバスを走る筆の痕跡や、画面から飛び出してしまいそうなほどの迸る色遣い、それらは、前につんのめるような、性急とも感じられる勢いにあふれている。彼は、自分の人生が先は長くないことを悟り、生き急ぐかのような思いを目の前のカンバスに叩きつけたのではないだろうか。
一方で、出血の止まらない自分の鼻を嫌い、鼻だけを塗りつぶして描いた自画像や、風景画や静物画での微妙な歪み具合には、病に蝕まれたことの屈折感も見え隠れするようだ。

小野幸吉。何だか久しぶりに、一枚の絵の前で長く足を止め、心がざわめく感覚を味わった。


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