2009年12月25日

或る冬の日−花、腐す。

水面に朽ちる、白い花。



大正から昭和にかけて活躍した文豪、武者小路実篤の旧邸。



「水のあるところに住みたい」という実篤の願いは、70歳にして、この仙川の邸宅にて叶うところとなり、以後90歳で亡くなるまでの20年間をここで暮らした。



実篤は、この仕事部屋にて、文筆活動のかたわら、絵を描き、書を書いて過ごした。
それらの画は、主に植物や野菜などを描いたもので、とても素朴なものであるが、身辺の小さな生命を発見し、賛美するような、屈託のないおおらかさに溢れている。


武者小路実篤という人の小説は、学生の頃にいくつか読んではみたけれども、10代後半から20代にかけての、ちょっとひねくれたような、世間のことも知らぬ青臭い時期にあっては、彼の理想主義や人道主義は鼻に付いたものだった。
けれども、今読み直してみれば、もしかしたら意外と素直に読むことができるのかもしれない。



庭園内には豊かな水が湧いており、僕の頭の上では、メジロが愛嬌のある声で鳴き、軽やかに枝から枝へと移ってゆく。



水面に落ちたもみじの葉が、少しずつ朽ちてゆく冬の日々。



日差しはあまりにもやわらかく、春の訪れを想うには、まだまだ季節は遠いのだった。



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