2010年01月24日

【展】木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン

東京都写真美術館で開催中の「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン」に足を運ぶ。ストレスを感じるというほどではなかったけれど、なかなかの盛況っぷりだった。
アンリ・カルティエ=ブレッソンは、街の日常の風景を幾何学的に捉えて、人物の配置やポーズまでにこだわりを感じさせるフレーミングで、とても理知的な印象の写真を数多く残した。一方の木村伊兵衛の写した日常は、混然としていて、そして時に土俗的な「匂い」を感じさせる。
二人の写真の差異には、日本とヨーロッパという風土の違いも大きい…と言ってしまうと身も蓋もない表現ではあるけれど、しかし、たとえば木村伊兵衛がパリに行って撮影した写真がどうなのかというと、やはり日本で撮影した写真よりも面白くないし、アンリ・カルティエ=ブレッソンにしても、ヨーロッパで撮影したものがやはり強い印象を残す。
アンリ・カルティエ=ブレッソンの幾何学的なフレーミングには、石造りの建物や路地の端正な街の風景が必要だし、であればその土地の空気が「乾いて」いなければならないだろう。また、木村伊兵衛の写真には、ヨーロッパよりも倍以上に雨量の多い、日本の湿潤で寒暖の差がある気候がなければ、秋田や大曲といった「匂い立つ」ような土俗的な風景は写しえなかったのではないだろうか。

また、会場の最後のコーナーでは、二人のコンタクトプリント(ネガの画像をそのままのコマの大きさで、フィルム一本分をまとめて焼いたもの。反転画像のネガよりも見やすい)も展示。これは面白かった。
ひとつの対象に何度もシャッターを切ったり、露出を微妙に変えたり(中には失敗して白く飛んでいるものも)、そうした作業の末に、彼らの“傑作”が生み出されたということが垣間見えた。


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この記事へのコメント
こんばんは、
ちょうど先日書店で(別々の場所ですが)両名それぞれの写真集をながめていました。
何かひっかかるものがあり本を手にとったのですが…、
いやぁ一度に見れるとは、面白いでしょうね!
Posted by miki at 2010年01月27日 23:12
>mikiさん
ほほぅ、何か引っかかりましたか!
アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真は、どこかクール。「ヨーロッパ」への憧れみたいなものをかきたてたのでしょうね。
木村伊兵衛の写真は、昔の日本の姿なんですけど、そこに遠い土地のヨーロッパ以上の憧憬を感じました。
Posted by 石庭 at 2010年01月28日 00:28