2010年02月24日

金沢21世紀美術館(雨/夜)

雨の夜。
タレルの部屋にやって来てみると、天井から降りそそぐ雨が床を濡らし、雨音を奏でていた。



ブルー・プラネット・スカイ。



そう名付けられたこの部屋は、天井にある正方形に切り取られた空を眺めることで、光の移り変わりを感じることがテーマではあるが、この夜の僕は、ふとしたことから、雨に濡れた床に楽しみを見出していた。



床に映った人々の姿は、雨のしずくが作り出す波紋で歪む。雨粒の音のひとつひとつまで聞き分けられるようだ。
ああ、何だか楽しい。
まるで、世の中でいちばん最初にこの楽しみを発見したのが僕であるかのような気分になった。



それから、漆黒の夜空を見上げて、濡れた床に目を落としてみると、



頭の上にあるはずの正方形の夜空が、僕の足元でも、黒く口をひらいているのだった。
僕が部屋の中を歩けば、足元の黒い正方形もどこまでもぴったりとくっついてくるのだ。
ああ、これも何だか楽しいぞ。



その日の微妙な天候の違い、あるいは季節の違いによって生み出される偶然のめぐりあわせが、思わぬ想像力を喚起する部屋。
今日の風景は明日の風景とも違うだろうし、明日の風景は明後日の風景とも違って見えるだろう。
もしかしたら、私たちの見ている目の前の景色には、二度と同じものはないのかもしれない。

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