嵐電の駅でいうと、車折神社のひとつ隣り。歩いてもたいした距離ではない。

ここの参道はとても美しく、僕の中の“京都の美しい参道ベスト5”に入る。
じゃあ他の4つの参道はどこなんだ……というのは、とりあえず脇へのけておこう。

お堂に辿り着くまでのアプローチの距離、その距離が長ければ長いほどに胸が高鳴り、木々に覆われた緑の深さや、参道の脇の苔生したエメラルドの美しさなど、参道フェチであれば、その欲求は満たされるに違いないのである。

もちろん、臨済宗の禅寺らしい庫裏の造りも立派で美しいし、庭もとても素晴らしい。
遠く嵐山を借景とした空間は、景色を遮るものがなく、実際の広さ以上に奥行きに広がりが感じられ、とても伸びやかな、ゆったりとした気持ちにさせてくれる。
ちょうど今くらいの時期であれば、晴れた日には、日なたぼっこをしながら休憩をするにもちょうど良くて、柱に寄りかかっていると、まぶたがだんだん重たくなってきて、ついつい居眠り、すっかり長居をしてしまった。

嵐山の方角を眺めると、山の一部分が桜色に覆われているのが見えた。山の桜も、早いものはすでに花を付けているのだと知れた。