2010年04月01日

【展】絵画の庭

先日訪れた大阪の国立国際美術館での「絵画の庭−ゼロ年代日本の地平から」は、21世紀に入ってからのこの10年ほどの現代美術、とくにペインティングに焦点を当てた展覧会だった。この10年=2000年代ということで“ゼロ年代”と総括された展覧会場には、すでに評価を確立している作家から新進の作家まで、28人の作品約200点が集められた。
会場は、作家ごとにブースのように仕切られていたので、とても鑑賞しやすい構成だった。選り好みをしながら、僕の心の琴線にふれない作家のブースは、ささっと通過。まぁ、これはこれで気持ちが楽だった。




面白いなぁ…と思ったのが、花澤武夫という人の作品。
日本の近世絵画へのオマージュというか、21世紀的なサンプリングというか、現代美術の中にさりげなく(しかし意識的に)日本的近世絵画の要素が盛り込まれていて、それがとても新鮮だった。
「ミクロコスモス」は21世紀の山水画なのかと思わせる風景画だし、縦長のカンバス3点組の作品「地、風、火の要素」は、近景と遠景のバランスに歌川広重の錦絵的な構図を想起せずにはいられないし、あるいは、木の枝ぶりの描き方には狩野派なのか長谷川派なのかと思わされる。そういえば、3点組という構成にしても、掛軸の三福対や、大判錦絵の三枚続という構成を意識的に踏襲しているのかもしれない。

出品作品のひとつ、加藤美佳「カナリヤ」(左)のポストカードを購入。



この絵は、かつて東京都現代美術館で見て以来、恋に落ちてしまった(ヘンな意味ではないです!)。
加藤美佳が独特の方法で生み出した絵の中の少女と面と向かっていると、彼女の大きくて妙に色っぽい瞳に見透かされたかのような、罪悪感のようなものを感じてしまう。頬にうっすらと透けた青い血管の筋、ほっそりとした首筋のほくろ、それから、頬に付いた睫毛を発見した時には、自分が良くない愉しみを得てしまったのではないかと錯覚し、胸騒ぎを覚えずにはいられない。
一見、超絶技法でリアルに描かれただけの絵のようであるが、じっと対峙していると、この絵が見る人の想像を喚起させる力はリアルを超えたものがある。

もう一枚は、奈良美智「The Little Judge」(右)。
絵筆を握り締めた少女の睨むような視線の先には、絵の具の付いた筆先。その筆は、ロウソクの灯りのように暗がりを照らす。少女の視線と、握り締めた絵筆に、絵画の持つ力を信じる奈良美智の強い思いを感じる。とても印象に残った力強い絵だった。
この絵が今展覧会のポスターやフライヤーに使われたが、なるほど、絶妙なチョイスだと納得させられた。

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