2010年05月08日

【展】佐伯祐三展〜下落合の風景

新宿歴史博物館の「佐伯祐三展〜下落合の風景〜」は、たった300円で佐伯祐三の画を見ることができてしまうという、とてもお得感のある企画展だった。
それぞれ画風の異なる3点の自画像に始まり、夫人と娘の肖像画、それから佐伯祐三を佐伯祐三たらしめるパリ時代の作品が十数点、そして展覧会のメインである下落合の風景画。



第一次と第二次のパリ時代の間に、日本で描かれた下落合の長閑な風景は、パリ時代の作品と比べてしまうと、どうも冴えないというイメージが抜けきらないのだが、それでも、坂の上から眺めた下落合の風景や、雪景色の作品など、いくつか印象的なものもあった。
重厚感のある色遣いや、ポスターの文字や街を歩く人物の描写などの躍動するような筆の運びは、なるほど、パリのような街の風景を描くのにはぴったりで、日本の郊外の長閑な風景を描くには不向きだったのかもしれないし、それゆえに、佐伯祐三も勝手の違いに悪戦苦闘していたのかもしれない。

また、紙の切れ端にささっと描いたようなデッサンや、あまり手紙を書かなかったという佐伯の貴重な直筆書簡(字が汚い…)、佐伯が知人に贈ったイーゼルなど、なかなかお目にかかれないような資料も展示されていた。
こうしたものを見ることができただけでも、たいへん面白い企画展だった。

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