2010年05月17日

新緑記・高桐院

生死事大 光陰可惜 無常迅速 時不待人。



人の生死は一大事。一寸、一刻の時間を惜しんで大切にするべし。



常に存在するものなどはなく、あっというまに失われていく。時は人を待ってはくれないのだから。



禅寺でしばしば見かけるのが、こうした「板木」。
黄檗禅の萬福寺では「巡照板」と呼んでいて、ちょっと違ったニュアンスの警句が記されてあったりしたけれど、いずれにしても、時間を大切にせよという意味に尽きますね。
一鳥啼いて 山更に幽かなり(いっちょうないて やまさらにしずかなり)。



床の間に掲げられた軸は、ご住職の筆によるもの。「鳥」が絵になっているのに注目。



中国の漢詩に由来する言葉で、一羽の鳥が啼いて山の静けさがよりいっそう深くなる…といった意味なのだそう。



静寂の中に響き渡る鳥の啼く声、さらに寂寥感を増す山々…そんな情景を思い浮かべながら、こうして一人、庭と対面していると、それはまさに「一鳥啼山更幽」なのではないかと思う。



しばし「一鳥啼山更幽」の雰囲気を味わって、新緑の参道の美しい高桐院をあとにした。



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