2010年06月07日

【展】伊藤若冲アナザーワールド

jyakuchu_another千葉市美術館で開催中の「伊藤若冲 アナザーワールド」
伊藤若冲といえば「動植綵絵」に代表される鮮やかで緻密な着色作品がイメージされるのだろうが、この展覧会ではモノクロームの水墨画を中心に集めたことで、“アナザーワールド”。
いやぁ、びっくり。よくもまぁ、これだけの作品が揃ったものだと、楽しくて仕方がなかった。千葉の市立美術館での開催だったためか、会場はそれほど混雑しておらず、ひとつひとつの作品を丁寧に眺め、また、気になった作品の前で足を止めても、誰に気兼ねするでもなく、じっくり眺めることができた。

掛軸の形式をとった小品が中心だったが、若冲の筆が躍動する押絵貼屏風も数多く展示。
こうして若冲の水墨画を眺めていると、この人の本質は着色画よりも水墨画にあるのかなぁ…と思うことがある。
たとえば「動植綵絵」などを見ると、そこには張り詰めた緊張感で息が詰まりそうになってしまうのだが(それは若冲のライフワークでもあっただろうし)、水墨画はふっと力が抜けたようにリラックスして、題材も発想も筆遣いも自由闊達、何やら楽しんで描かれているようにさえ感じる。
釈迦の涅槃を野菜に見立てた「果蔬涅槃図」は思わず笑みがこぼれてしまうユーモアあふれる一品だし、「石灯籠図屏風」や「石峰寺図」は、幻視のような白昼夢のような、不思議な景色が広がる。
その一方で、西福寺の襖に描かれた「蓮池図」はギョッとさせられる大作だ。向かって右には花をつけた蓮、左には枯れて朽ち果てた蓮。左右で対象的に描かれた2つの蓮、その間に広がる余白に時間の流れの深遠さを重ね、諸行無常の理をしみじみと思ってしまう。

また、水墨画作品ばかりではなく、静岡県立美術館から出品の枡目描きの大作「樹花鳥獣図屏風」や、京都両足院の「雪梅雄鶏図」といった着色作品も。
他には、上田秋成が賛を寄せた「海老図」の掛軸に、こんなものがあるのか!と、ビミョーにテンションが上がってしまった。
展示替え後の後期には、昨年初公開されたMIHO MUSEUM「象と鯨図屏風」の出品もあるようで、これはもう一度足を運ぼうかどうか、とても悩ましいところです。


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