2010年06月13日

【展】浮世絵入門

山種美術館『浮世絵入門』2009年秋にリニューアルオープンした、広尾の山種美術館にて「浮世絵入門〜広重《東海道五拾三次》一挙公開」を鑑賞。山種美術館は、僕の中での印象としては、根津美術館や出光美術館と並んで“年齢層が高い”、雰囲気も“ちょっとお高くすました感じ”な美術館。なので、とても落ち着いた雰囲気です。
この展覧会に出品された広重の《東海道五拾三次》は保永堂版の初摺のもの、数ある版の中でも、作者広重の意図が細やかに行き届いた版として知られている。
こうしてまとめて《東海道五拾三次》を眺めてみると、風景画(名所絵)の一言でまとめてしまうのはもったいないくらい、広重がいろいろな試みをしていることが分かる。他の名所図会から引用して独自にアレンジを加えてみたり、はるか空の上から鳥瞰した風景を描いてみたり、あるいは「御油・旅人留女」や「赤坂・旅舎招婦之図」のように旅籠屋の人間模様を描いてみたり。
また、広重という人は、気象の細やかな変化を描くのがとても上手いことも分かる。同じ雨の風景を描くにも、「土山・春之雨」と「庄野・白雨」ではまったく違う種類の雨の景色であるし、また、雪景色を描けば「蒲原・夜之雪」のように、しんしんと降り積もる場面を見事に演出する。「庄野」と「蒲原」は、この五拾三次シリーズ中において傑作の名高い2つの作品であるけれども、「庄野」の画面全体を覆い尽くす湿り気を帯びた空気や、「蒲原」の吐く息も白く凍てつくような空気を絵の中から感じると、なるほどこれが傑作だと呼ばれることも納得できてしまう。

広重の他には、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎…と、浮世絵のそれぞれの時代を代表するビッグネームの作品も展示。
「浮世絵入門」というタイトルに違わず、丁寧な作品解説や作者の解説、浮世絵の摺りについての基本的解説などなど、とても細やかな神経の届いた展覧会でありました。


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