2010年07月18日

【展】オルセー美術館展

夜の美術館。



国立新美術館の「オルセー美術館展2010」を観覧。
開館時間を延長をすることになったというので、閉館間際までの18時〜20時を狙って行ってまいりました。
10日ごとに来場者数を10万人ずつ増やしていたので、さぞかし混雑しているのかと覚悟して足を運んだのだったが、待ち時間はなく、すんなりと入場。だがしかし会場内は混雑しているだろうと思いきや、これまたストレスなく見ることができた。じっくり見たい作品は立ち止まって見ることもできたし、閉館間際には気になった作品の前に立ち戻って余韻を味わうこともできたし、なんかもう、何も言うことはありません。



「ポスト印象派」と銘打った115点の作品は、一言ではまとめられないほど、実に多彩。
ヨーロッパの絵画の多様さは、てっきり、20世紀に入ってからの前衛芸術とともに花開いたという先入観があったのだが、19世紀末にすでにこれだけのものが用意されていて、20世紀絵画はその下地なくしてはありえなかったのだろうなぁ…と思いをあらためた。
興味を惹かれまくったコーナーをいくつか挙げると、まずはセザンヌ。セザンヌはストイックな感じで好きです。彼の静物画はキュービズムに影響を与え(キョービズム時代のピカソの静物画も並べられていた)、「水浴の男たち」はたとえばマティスに多大なインスピレーションを与えたことだろう。
それから、ゴッホとゴーギャンのコーナー。ゴッホの方は、さすが会場内でも人気が高く、けっこうな人だかり。その濃密すぎる関係から、何かと並べて語られることの多い二人だが、僕はゴーギャン派なので、おかげさまでゆっくりとゴーギャンを鑑賞することができた。いかにも印象派を踏襲しました的な画風から、しだいにシンプルで力強い線描と色彩に移行していく過程は、とても面白い。



また、エミール・ベルナールの「水浴する女たちと赤い雌牛」「傘をさすブルターニュの女たち」「収穫」、モーリス・ドニの「木々の中の行列」「カルヴァリオ丘への道」といった作品に強い印象。彼らの作品をじっくり見たのは初めてだったけど、しっかり名前をインプット。意識的に作り上げた平坦な画面は、とても理知的だ。こういうシンプルな構成ほど、きっと、いろいろな計算が働いているはず。ベルナールは自画像「象徴的な自画像(幻視)」も、かなり病的な感じでぶっ飛んでいた。ヴァロットンの「ボール」もまた、画面構成や色遣いが印象的な作品だった。
そして最後に、アンリ・ルソーの「蛇使いの女」。中学生時代、美術を教えてくれていた先生が、何かにつけてルソーのこの画を紹介していたことを思い出す。シャガールの名前もよく耳にしていたから、おそらく、ルソーとシャガールが好きだったのだろう。そういうわけで、この画の雰囲気はずっと頭にすりこまれたままで、僕の中では“ルソー=蛇使い”の式が成り立っている。長い時間を隔てて、ようやく本物が目の前に現れたことに、テンションが上がってしまった。



フランスのオルセー美術館の大改修にともなって、同館の作品がキャンベラ(豪)→東京→サンフランシスコ(米)と世界ツアー。フランスのサルコジ大統領をして「これだけの絵画がフランスを離れることは二度とない」と言わしめたらしいが、なるほど、その言葉に偽りなしの充実した作品群だった。
久しぶりに洋画を心の底から楽しむことのできた、充実の2時間でありました…。

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/rock_garden/51743033
この記事へのコメント
ほんとに見ごたえのある美術展でした。
関西での開催がなかった(日本で1ヶ所なら東京ですよね)
ので、ぜひ東京遠征してでも行きたいなあと思ってたのが
実現しました。
お土産にゴッホの星降る夜のポスターを買ったのですが
まっすぐにして持って帰るのに苦労しました。
(ショップの方がボール紙にはさんでくれました。)
Posted by 一休 at 2010年07月21日 00:44
>一休さん
お疲れ様でした!
ポスターを買って帰ったんですか〜。ゴッホの星の夜の絵は、出品作の中でも印象的な一枚でしたねぇ。
自分も何か買えば良かったかな…図録はよほどでないと買わないのですが、ドニかベルナールのポストカードでも…
Posted by 石庭 at 2010年07月21日 22:11