展覧会のタイトル「京都」という名前に少し惹かれて足を運んだのだったが、それは多くの人が想像する古都京都ではなく、京都という街の断片だった。

壁の落書きであったり、ポスターやチラシであったり、それから、ガラス窓や濡れた路面などに映って反転した街の景色も、作者にとっては重要な要素のようだ。
「京都」のシリーズの中には、伊藤園の自動販売機のペットボトルがアップで写されている一枚があったのだが、そこにはどうやら別の景色(天井のようなものだろうか)が反転して映っている。こうした映し込まれた景色は、多重露光のような効果を生み出していた。
断片的な写真の数々は、作者のモノローグのようであり、そうした断片から、写された街のイメージを想像し、ふくらませていく。それは、謎解きをしているか、暗号をつなぎ合わせでもしているかのような時間であった。
