■諸国漫然記 10 砂丘
砂丘と飛行機雲。夏らしい1枚。

何年か前の夏に、鳥取砂丘を訪れた時のもの。振り返れば、美しい砂紋と、その上に点々と残った僕の足跡。

わざわざ他の観光客からはぐれたルートを歩きはじめてしまうと、やがて、僕の視界からは人の姿がなくなってしまった。
学生時代に読んだ安部公房の「砂の女」の世界は、こんな感じなのかなぁ…と想像しながら。
さらに歩くと、砂丘の向こうに見えた日本海の姿に圧倒された。
しかし、僕は砂丘というものをナメていた。
頭の上の太陽と、そして砂の上の照り返しが強く、ペットボトルの中身をまたたくまに飲み尽くしてしまい、それでもどんどん渇きが襲ってきて、頭が少しくらくらしてくると「これはちょっとやばいんじゃなかろうか…」と、自分が砂丘で気を失って息絶える姿を妄想しながら(“会社員男性が熱中症で砂丘で倒れて死んでいるのを発見”というニュースのキャプションを妄想しながら)、途中で引き返してきてしまった。日本海まで近づくことは叶わなかった。

観光客の多くが登る丘。悲しいことに、僕にはもう、ふたたび歩いていく体力はなかった。

現在愛用している一眼レフのカメラを買う以前のこと。今こうしてブログで写真を記事にするより以前こと。
その頃に旅先で撮影した、狙いもなにもない、漫然たる写真の記憶。漫遊記ならぬ漫然記。
Posted by rock_garden at 23:08│
Comments(4)│
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こんばんわ。
実は数年前まで砂丘の写真屋でバイトしてたんですよ!
観光客の皆さんはよく石庭さんと同じ様な事を言っておられました。でも是非日本海までたどり着いてほしいですね!あの砂山を越えて疲れた足を海につけるのは気持ちいいですよ。
次回は是非!
早朝がおすすめです!
>mikiさん
そ、そうなんですか〜!砂丘の写真屋で!
ほんと、この時はちょっとキツかったので、次は別の季節に行きたいですねぇ。
でも、早朝も気持ち良さそう。人も少ないでしょうし!
そぉなんですよ!
観光客の皆さんをバシバシ撮ってザクザク?売ってました!
砂丘はいつの季節も早朝がいいですよ。人が少なく綺麗な風紋ができてて、日の当たり始めた砂丘はなんともいえない美しさです。
>mikiさん
砂丘で四季の移り変わりを感じるというのも、
とても素敵なことなんでしょうねぇ。。。
早朝なら、たしかに、人の足跡もないだろうし、美しいのでしょうね!