2010年10月01日

【展】ザ・コレクション・ヴィンタートゥール

ヴィンタートゥール小田急線の千歳船橋の駅からバスに揺られて、世田谷美術館の「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール」を観覧。
ヴィンタートゥールは、スイスの小都市。その街から、日本初公開となる作品のみで構成された90点が来日。印象派から始まる近代絵画の紹介に始まって、そこから派生するヨーロッパ絵画の豊かさを存分に味わうことができた。
この夏、「ポスト印象派」と銘打った「オルセー美術館展」が大きな話題となったけれど、その展覧会と重なるヨーロッパ絵画の流れを汲みつつも、メジャーな展覧会では拾えないようなところ……あるいは、痒いところに手が届くようなところとも言うべきか、そうしたヨーロッパ絵画の潮流を目の当たりにできるのは、スイスの小都市に集められたコレクションの独自性ゆえなのかもしれない。

展覧会場には、ナビ派(ドニ、ボナール、ヴァイヤール)やキュービズム(ピカソ、ブラック)、ピュリスム(コルビジェ、オザンファン)、素朴派(ルソー、ボーシャン)などなど、19世紀末から20世紀の絵画がひしめき合っているのだが、この企画展の軸としてあるのは、まずひとつにドイツ絵画の潮流。
フランスの印象派から派生したドイツ印象派は、帝国公認の美術への反旗として、ベルリンやミュンヘンを中心にした「分離派」を生み出す。ここでは、マックス・リーバーマンやロヴィス・コリントといった「ベルリン分離派」の画家たちの名前が並ぶ。
さらに、20世紀初めにドイツに興った表現主義の画家たち。1905年にドレスデンで結成された「ブリュッケ」の中心的人物であったエーリッヒ・ヘッケル、「ミュンヘン新芸術家協会」「青騎士」で活動したカンディンスキーやヤウレンスキーといった画家たちの作品がずらりと並んでいる。

そして、もうひとつの軸として、スイス国内の画家の紹介。
スイス近代画の国民的画家ともいえるアルベルト・アンカーとフェルディナント・ホードラー、それから、「オルセー美術館展」でも《ボール》という作品で強い印象を残した、フェリックス・ヴァロットンの作品が5作品も並んでいた。この人の絵は、熱が低いというか、カンヴァスから体温のようなものを感じることのない、かといってクールとか冷徹とかいうわけでもない、不思議な味わいがある。
また、スイスの生んだ素朴派とされるアドルフ・ディートリッヒの冬景色の画。画の注文者が選んだ写真をもとに描いた湖畔の雪景色は、写実的であろうとするがゆえに、かえって非現実的な空間を生み出している。現代アートにも通じるものを感じた。

これ以外にも、いくつか印象の深い作品があったのだが、その多くは、僕の知らない画家たちの名前だった。
そうした画家の名前との遭遇は、いっさいの先入観を持つことなく画を見ることができて、新たな発見に満ちた展覧会となりました。


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