2010年10月03日

【展】諸国畸人伝

諸国畸人伝都営交通1日乗車券を使って、美術館めぐりの休日その2。
都営新宿線から三田線に乗り継いで、終点の西高島平へ。向かったのは板橋区立美術館。江戸時代の個性的な画家10人にスポットを当てた「諸国畸人伝」を観覧。
曾我蕭白の「群童遊戯図屏風」と、なかなかお目にかかれない土佐の絵師絵金の芝居絵を見ることができただけでも、観覧料600円以上のものを感じてしまったりするわけだが、他にも面白い画が盛りだくさん。

祇園井特(ぎおんせいとく)は京都の浮世絵師。京都の浮世絵師というのは、なかなか珍しい。というか、ほとんど聞いたことがない。肉筆で描いた人物画は、いわゆる美人画とは一線を画す写実性。いわゆる美人画といえば、面長で切れ長の目といった典型があるのだが、祇園井特の人物画は、眉のかたち、目や唇の輪郭、鼻のかたち、顔の輪郭…一人ひとりが違う特徴を備えている。おそらく、その人物の容貌に忠実であろうとしたのだろう。
国学者である本居宣長は、自分の肖像画を描かせることを嫌っていたけれども、初めて自分を描かせることを許したのが、この祇園井特という絵師。こうして宣長72歳の肖像画が誕生した、というエピソードも残っている。

中村芳中は、尾形光琳的な造形を踏襲しつつも、そこに自らの色を加えて、独特の形態を作り上げた人。しかし、光琳や抱一といった琳派の系列にあるような洒落た雰囲気のものではなくて……なんというか、言葉は悪いかもしれないけど、脱力系かヘタうまかとも思わせるような、大らかで飄々とした画風。やけに丸っこい形態描写は愛らしく、落款の“芳中”の丸みを帯びた文字もかわいらしい。
芳中は、江戸で『光琳画譜』なる本を出版するも、その中身は光琳のそれではなく、芳中その人の画だったというエピソードが残っている。

狩野一信は幕末の絵師。五百羅漢図全100幅の完成を目指して画業に打ち込むものの、残り数幅のところで世を去る。五百羅漢図は、その後、弟子たちによって完成され、芝の増上寺に奉納された。
今展覧会では、五百羅漢図のうちの三幅を展示。とくに、第50幅の月下の樹上の羅漢たちの姿に目を惹かれる。月明かりに照らされた人物の顔に浮かぶ陰翳、木々の間に差し込む光と影の表現に、西洋画の影響を強く感じる。

板橋区立美術館は、とくに江戸時代の絵画の紹介においては、アグレッシブで、面白い企画展を仕掛けてくる。
これからの活動も目が離せません。


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