2010年10月07日

北陸妄想(2)那谷寺(後編)

奇岩の眺め。



旅の途中で行方をくらました知人は、この那谷寺を訪れ、まさに僕がこうして眺めたのと同じ景色を、ケータイで写真に撮り、自分のブログに更新していた。
彼はブログに更新した写真とともに、「このお寺では、カメラのシャッターを押してくださいと、道行く旅行者に何度か頼まれた。結局、4組の旅行者の思い出を、僕が彼らのカメラに収めたこととなった」というコメントを添えていた。そこに彼の失踪のヒントを見出すには、取り立てて特筆するべきこともない文面だった。


鎮守堂から楓月橋へと歩いていくと、橋の欄干に何やら発見した。



木組の猿、と書いてある。
“猿”と“去る”を掛け合わせて、撫でることで苦難が去るようにという、幸せのおまじないみたいなものらしい。



さらに歩いていくと、三重塔。木彫りの装飾を見ると、なかなか立派なものだと分かる。



寺の背後には池。水面には、初秋の青空と、夏の名残のような白い雲が映り込んでいた。



そして大悲閣へ。この堂内の奥、岩窟内に本殿がある。
自然の産物である岩と、人工物である建築物が一体となった、なんとも珍しい形態のお堂だった。



大悲閣から参道へと引き返していくと、



途中、先ほど対面の鎮守堂から眺めた奇岩群が、こうして目の前に現れる。
そして僕は、バスの時間が近づいていたので、小走りで境内をあとにした。



僕を含めて、車内に5人の乗客を乗せたバスは、やがて加賀温泉駅に戻ってきた。夕闇が迫る空の下には、巨大な観音像が悲しげに立っていた。
この観音像のある加賀寺には、バブル時代に建設されたレジャーランドが併設されていたが、廃墟となって久しいということだった。
仏教のテーマパークを目指したバブルの廃墟。その言葉の響きには、むなしさとともに、滑稽さも帯びていることを感じないではいられない。
そして、巨大な観音像と古びたラブホテルの看板。夕暮れの中の奇異な取り合わせは、どこかもの哀しかった。



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