2011年04月02日

【展】江戸の人物画

江戸の人物画府中市美術館にて「江戸の人物画 姿の美、力、奇」を観覧。
3月の震災後、東京は直接的な被害は少なかったとはいえ、計画停電などの影響もあり、美術館からは足が遠のいていた。というわけで、こうしてゆっくりと美術館を訪問するもの久しぶりのこと。少しずつ、週末の街にも日常が戻ってきている。

府中市美術館の春といえば、江戸絵画の特集が多いので目が離せない。昨年2010年は歌川国芳、2年前の2009年は山水画の特集…などなど。そして今年は人物画。
江戸の人物画といってまず思い浮かべるのは美人画。それから、故事に残る聖人や歴史上の人物の肖像画や、市井の人々を描いた画、さらにはユーモアあふれる“カワイイ系”の人物画などなど、とても豊富な題材で愉しませてくれる。
また、こうした江戸絵画の紹介が類型的にならないのも、府中市美術館の素晴らしいところ。たとえば、美人画でいえば、祇園井特や山口素絢といった独特のタッチの女性像があり、歴史上の人物の肖像画でいえば、太田洞玉の西洋画風の陰影を駆使した「神農図」に驚き、葛陂古馬の描く「関羽像」は闇に浮かび上がるようで、江戸絵画の伝統から逸脱しているような雰囲気に圧倒される。府中市美術館では、有名な絵師から、生没年不詳の名前も知らない絵師まで、面白いものはどんどん紹介してくれる。

この展覧会は前期と後期で大幅に展示が入れ替わる(というか、ほとんどが入れ替わる)。
今回の前期の目玉は、奈良県立美術館所蔵の曾我蕭白「美人図」だろうか。裸足の女が手紙を食いちぎる様を描いた、ただならぬ様子の女性の姿だ。
他には、円山応挙の「元旦図」「波上白骨座禅図」も面白かった。「波上白骨座禅図」は、波の上で骸骨が座禅をしているという、とんでもなく不思議な画なのだが、と同時に、骨格のリアルな描き方に円山応挙の医学的なものへの興味もかいま見ることができるのだった。


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