2011年05月29日

【展】写楽

写楽展2011年を振り返った時に、もっとも話題の展覧会として取り上げられることになるのではなかろうか、東京国立美術館で開催中の「写楽」展
わずか10ヶ月という短い活動のあとで忽然と消えてしまった写楽の作品をほぼ網羅しているとあり、開催前から注目度の高かった企画展だ。
写楽と聞いて誰もが思い浮かべる役者大首絵(これが写楽のデビュー作28図)に始まる画業を、1期から4期に分けて丁寧に紹介するとともに、保存状態の良い版との比較展示(当時の色の状態に近いものが見られる!)や、また、同じ役者を描いた同時代の絵師の作品との比較展示などもあり、写楽のみでなく、錦絵の世界を広く楽しむことができる。
写楽の絵は、デビュー時のインパクトが最も大きく、それ以降は次第に類型的になり陳腐化していくというのが定説だが(たしかに、だんだん面白くなくなっていく…)、それは版元である蔦屋重三郎の都合も大きな要因だったのだろうな…という新たな印象を持った。
デビュー作28図こそ、黒雲母摺りの豪華な絵であり、それが大首絵をいっそう際立たせることになるのだが、やがて写楽の絵も大量に安く刷ることへとシフトしていったのだろうか、2期以降の紙質はとても安っぽく見える。また、大首絵よりも舞台風景の全身像が万人受けするものだったのだろうか、おそらく写楽も、版元の求めに応じて作風を変えていくことになる。

ところで、この会場に展示されていたのが、喜多川歌麿の美人絵。これもまた雲母摺りの美しいものだった。むしろ、こちらの方に僕の目は釘付けになってしまった感じすらある。
役者絵は写楽、美人絵は歌麿…と、両者の美しい雲母摺りの向こうには、二人を華々しく世に送り出した蔦屋重三郎の意気込みがかいま見えたりするのだった。

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