2011年07月02日

【展】トーハク総合文化展

ちょっと江戸絵画でも…その3。
現在、東京国立博物館の総合文化展に出ているのは、夏の季節にふさわしい、英一蝶「雨宿り図屏風」。
突然の通り雨に遭った人々たちが、武家屋敷と思しき門前で雨をしのぐ姿を描いた一枚。
江戸絵画の中で、僕のもっとも好きな作品のひとつ。なぜって、この画を見ていると、温かい気分になるからだ。

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大人も子供も、男も女も、それから士農工商の身分の隔てもない。人間たちに混ざって犬の姿さえもある。雨を見上げる彼らの表情も、困惑しているというよりは、どこか明るい感じさえする。「まぁ、そのうち雨もやむだろ」と、笑い声とともにそんな声さえ聞こえてきそうだ。
突然の雨。雨を避けて、人々が小走りで往来を行く。

東京国立博物館02

屋敷の門前にて。いろいろな身分の人、職業の人がいるようだ。左の人は、何やらはしゃいでいる様子。

東京国立博物館03

柱にぶら下がって遊ぶこども。通り雨のおかげで、しばし一緒の時間を過ごすことになった人たちは、楽しそうですらある。
顔をしかめて空を見上げているのは、武士らしき人だろうか。町人らに混ざって、一人で居心地が悪そうなのが面白い。

東京国立博物館01

きれいな白い着物を着て顔を隠している女性は、高い身分の人だろうか。
「止まねぇなぁ…」「まぁ、そのうち止むだろうよ」…そんな会話が聞こえてくるようだ。

東京国立博物館04

この屏風絵には、市井の人々を眺めつづけた一蝶のエッセンスが、ぎゅっと凝縮されている。
一蝶の生きた時代には、もちろん「ヒューマニズム」なんていう言葉も考えもなかったけれど、英一蝶という絵師は、市井に生きる人々への共感と賛歌を、こうして画に込めて表現していたのだろう。

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