2012年01月22日

【展】北京故宮博物院200選

北京故宮院展待ち時間2時間、観覧2分。

東京国立博物館で開催中の「北京故宮博物院200選」です。
日中国交正常化40周年を記念して、北京の故宮博物院から門外不出とされていた文物が多数来日中…しかも、中国北宋時代(12世紀)の名品である『清明上河図(せいめいじょうがず)』の期間限定公開の終了が迫っているとあって、会場は大混雑。
あらかじめ中国出身の人に聞いておいたところ、この『清明上河図』は、中国では教科書に載るようなとてもポピュラーな画であり、誰でも知っているものなのだとか。そういえば、上海万博では動く『清明上河図』が公開されて、とても話題を集めたのも記憶に新しいところ。
けれども、それほどまでにポピュラーな絵巻でありながら、中国でも公開されることは本当に稀なことらしく、今回の日本での公開のためにわざわざ中国からやって来た人もいるとかいないとか。なるほど、会場内のあちこちからは、中国語での会話が耳に入ってくるのだった。
閉館時間を過ぎてもなお、時間内に見ることのできなかった人たちが列をなして、当初のアナウンスでは3時間待ち。
僕は、16時40分くらいから並びはじめて、見終えて博物館を出たのは18時40分。結局、待ったのはちょうど2時間といったところだった。
普通の展示を観覧するのに約2時間、『清明上河図』を見るために並ぶのが約2時間。
で、待ちに待った結果、『清明上河図』を見ることができたのは、2〜3分といったところか。

実物は小さい。図録から想像していたよりも小さく、細緻。

そうはいっても、実物を見ることができて良かったと感じるのは、その精緻な描写。
会場では、動画や図版で『清明上河図』を紹介してくれているのだが、それらから想像していたよりも小さな画面に、圧倒的な情報が細かく描き込まれている。髪の毛一本のような線で描かれていく風景や人物や建物は、実物を見てみてこそ驚きを覚えるものだった。
画の舞台は、北宋の首都である開封における、清明節(祖先の墓を参り、墓を掃除する日)の町の様子。
農村が描かれ、船の上で暮らす人々の姿があり、町の中にはいろいろな職業、いろいろな格好の人がいる。それらの無数の人物は類型的なものではなく、人物の一人一人に個性があって、人生があるようにも見えてくる。
また、駱駝の姿なども見え、この開封の都が、東西の交易や、運河による物流の中心地として栄えた様子を想像することもできる。
絵巻のハイライトは、虹橋をくぐろうとする船。船の上では、帆をたたんでいる人、竿を立てている人がいて、橋の上からはその様子を眺めてやんややんやの大騒ぎをする人たちがいる。まるで映画のワンシーンのような、一大スペクタクルだ。
それに、驚くべきはこの虹橋の構造。橋脚はなく、岸と岸とをつないでいる。12世紀の北宋には、すでにこうした建築技術があったわけだ。

他にも見どころはあるよ。

今回の展覧会の最後では、清の皇帝である乾隆帝(在位1735〜1796)がクローズアップされる。
この乾隆帝の号令の下で、中国の長い歴史における宝物などが収集・分類・保存されてきたわけだ。いわば、現在の故宮博物院の源流ともいえる。もしも乾隆帝が国家事業として文化保護を行うことがなかったら、多くの宝物は散逸していたのかもしれないし、中国の歴史を検証する作業も違うものになっていたのかもしれない。
清朝時代は、満州族が漢族を支配したわけだが、乾隆帝が漢族の文人の服装に身をつつんだ『乾隆帝是一是二図軸』や、漢族の歴代皇帝にならった服装の『乾隆帝古装像屏』を見ると、清朝皇帝が中国文明の正当な継承者であるというアピールもある一方で、宝物の審美や収集保存という膨大な作業には、漢族の歴史へのリスペクトもあったのではないかと感じさせるのだった。

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/rock_garden/52062351