2012年03月07日

【展】林忠彦展 紫煙と文士たち

紫煙と文士たち渋谷のたばこと塩の博物館で開催中の企画展『林忠彦写真展 紫煙と文士たち』
林忠彦は、戦後から昭和の文士たちのポートレート写真を数多く撮った写真家。「文士」なんていう言葉は、今ではすっかり使わなくなってしまったけれど、林忠彦の写真に収まった作家たちは、本当に「文士」という言葉が似合う。「文士」という二文字は、見た目もシャキッとしているし、声に出せばいい響きなので、好きです。
なんで、たばこと塩の博物館で林忠彦の写真展!?…と、ちょっと驚きもしたけれど、ずらりと並んだポートレートの作家たちは、煙草を気持ち良さそうに燻らしている姿が多く、なるほどこれは、たばこと塩の博物館ならではの切り口の写真展なのだった。ポートレートには煙草という決まりでもあるかのように、文士と煙草はよく似合うのだ。

実は、高校生時代の僕は、国語の副教材として配られていた日本文学史の教科書がとても好きだった。歴史年表や地図といった副教材も好きだったけど、ぼんやりと日本文学史の教材をめくっているだけでも、時間をつぶすことができたものだ。
そういうところから派生して、林忠彦の撮影した太宰治や織田作之助、坂口安吾らといった無頼派の作家たちの写真は、ずいぶん昔から見慣れて親しんだものだし、彼らの小説も好んで読んだものだ。
ダザイ、オダサク、アンゴ…彼ら三人の顔といえば、まず思い浮かべるのは林忠彦によるポートレート写真だし、その写真が彼らの“ひととなり”をあらわしているのではないかというくらい、印象深いものなのだった。

この企画展では、作家たちの簡単な略歴とともに、林忠彦による作家たちの印象がキャプションとして用意されており、それはあたかも、高校生時代に親しんだ日本文学史の副教材の世界が、いきなり目の前に出現したかのようで、しばし時間を忘れて、この企画展を楽しんだのでした…。

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