羚羊山岳会で訓練するロープワーク
ロープワークに必要なギア
ヘルメット・ロープ・ハーネス・カラビナ・安全環付カラビナ・エイト環・ビレイ器
スリング
 名    称主な用途
1ボーライン又はもやい結び固定、片手で腰に巻く、木に巻き付ける
テントの張り綱
2ダブルフィギュアエイトノット(8の字結び)固定、ハーネスにロープを結ぶ
3ダブルフィッシーマンズノットロープの連結 テントの張り綱
4クローブヒッチ又はインクノットメインロープによる自己ビレイ
フィクスロープの中間部の固定
5ムンターヒッチ(半マスト)半固定、確保、ロアーダウン
6オートブロック(マッシャーブルム)懸垂のバックアップ
7プルージック登り返し
8カウヒッチ立ち木にスリングを結ぶ
9ガルダーヒッチ荷揚げ・確保・レイジングシステム
10シートベントチェストハーネス、
11ムンターヒッチ、ミュールノットムンターヒッチの固定
12トラッカーズヒッチ木と木の間にロープを張る。
ツエルトを張るときに使用
13インラインフィギアエイトノットレスキューで使用
14ナインノットレスキューの時、エイトノットでは締った場合ほどけ難いのでナインノットを使う。
15バタフライノットフイックスロープを張るときの中間に使用
ロープを巻く
 振り分けロープを縛る
 リングロープをたすきがけにして、移動する時
 負傷者を背負う時 
各種システム
1支点の構築 
2ビレイの方法 
3スタカットビレーの仕方 ロアーダウン 
4フィックスロープの張り方 
5マルチピッチの手順 
6懸垂下降の手順 ラッペル 
7確保者の自己脱出 
83分の1引上げシステム レイジングシステム 
9宙吊からの登り返しの方法 
10コンティニュアンスの方法 アンザイレン 
11簡易ハーネス チェストハーネス120㎝のスリング

山岳指導員(アルパインクライミング)レポート 鶴見

 

 当山岳会では、定期的にロープワークの研修会を実施している。会員になったからには、最低限のロープの結び方をマスターするように指導している。当会の最低限ロープの結び方と用途を紹介する。

①ボーライン 固定、片手で腰に巻く。②ダブルフィギュアエイトノット 固定、ハーネスにロープを結ぶ。③ダブルフィシーマンズノット ロープの連結④クローブヒッチ メインロープによる自己ビレー⑤ムンターヒッチ 半固定、確保、ロアーダウン⑥オートブロック 懸垂のバックアップ⑦プルージック 登り返し ⑧カウヒッチ 立木にスリングを結ぶ⑨ガルダーヒッチ 荷揚げ、確保⑩シートベント チェストハーネス

以上10点について日頃から結べるように指導している。

 ロープというのは、登山者自身が自力で行う行為を、失敗したときに備えてバックアップしてくれるもの。したがって高いレベルの登山のみで使用するものではない。自分が登るのに難しいと感じたところ、パートナーが登るのに難しいと思えるところ、天気やその他の状況で危険と感じたなら、ロープを使用すべきだ。ロープを使用することによって、精神的な余裕も増し、安全登山に繋がる。そのためには、正しいロープワークを身に付ける必要がある。未熟なロープワークで使用すれば、かえって危険が増すと考える。

 正しいロープワークを身に付けても、実際の山で使うには結構難しい。山では場所場所によって状況が違う。支点の構築、メンバーの状況、ロープを出すタイミング等々整備されたゲレンデとは違う。

 2016年5月16日、A氏と二人で裏妙義山に行った。国民宿舎裏妙義から、丁の頭、鳥帽子山、と周回コース。核心部は、20メートルのチムニーの下り。チムニーには鎖が設置されているが、ほぼ垂直に近い下り。手を離せば滑落の危険がある。私は、惑わずロープを出したが、A氏は、懸垂下降の経験がない。最初ロアーダウンでA氏を先に下すことを考えたが、ほぼ垂直で、着地地点が確認できないので危険性がある。チムニーの降り口には、しっかりした支点が構築され大きなリングがセットされている。トップロープでA氏を下すことにした。お互いにハーネスにロープを結び、A氏には、メインロープとデイジーチェンで自己ビレーを取らせる。私は、慎重に下り下降点に着いた。メインロープとデイジーチェンで自己ビレーを取りビレー解除のコールをする。ロープをいっぱいに張り、A氏の下降開始。下から見上げるので、A氏の下降の状態も分かり足の置く場所のアドバイスも出来た。無事に降りることが出来、A氏もほっとした様子である。

 ロープを使用したて悪場の通過では、山をよく見てその場の状況を見て最適のロープワークとスピードが求められる。常日頃から練習が必要と考える。

山岳指導員(アルパインクライミング)レポート 鶴見

 

 警察庁の統計資料によると、平成28年夏期(7月~8月)に発生した、山岳遭難は、全国で発生660件、遭難者753人である。都道府県別では、長野県107件、静岡県84件、富山県62件がワースト3位、栃木県は7件、死者2人、負傷5人になる。遭難の原因は、道迷い192人(25.5)、転倒174人(23.1%)、病気118人(15.7%)、滑落109人(14.5%)、疲労71人(9.4)、転落24人(3.2)野生生物襲撃7人(0.9)、落石5人(0.7)、鉄砲水1(0.1)その他45人(6)、不明7人(0.9)になる。遭難発生件数は、毎年増加傾向にある。統計資料からも分かるように自然を相手にする登山は、危険は付きものだ。資料は遭難要請のあった件数だが、捻挫、切り傷、擦り傷、高山病など山中では、危険がいっぱいだ。

 登山では、なるべく持ち物は少なくして荷物の軽量化をしたい。しかし、アクシデントが発生した場合に対応できる準備は必要だ。特にリーダーは、メンバーの安全登山のためにファーストエイドは、常に携行したい。中身は、三角巾、テープテーピング、バンドエイド、は最低限持参したい。装備では、低山であってもツエルト、日帰りでもあってもヘッドランプ、雨具、非常食は携行したい。携行しているだけではだめで、素早く使えるように日ごろから練習しておくことが肝心だ。

 夏山では、天候の急変が多い。午後になると雷雨に注意したい。雨具はすぐに取り出せるようにすることだ。7月に西穂高岳に行った時のことである。天気予報では、午後から曇り時々雨の予報であった。11時頃山頂についたら、黒い雲が近づいてきた。雨がぽつりぽつり降り出したので、慌てて雨具を着け下山した。その内に風が吹き始め雷が鳴り始めた。西穂高岳の稜線では、昔高校生が雷に打たれ何人も犠牲者が出ている。走るように下り山小屋に逃げ込んだ。雷が遠ざかるのを待ち、下山した。

 南アルプス北岳に3人で一泊二日のテント泊で行った時のことである。台風が四国から瀬戸内海を縦断する進路予想であった。肩の小屋のテント場にテントを張り休息していると夜半から急に雨風が強くなりテントが揺れ始めた。急いで雨具を着て登山靴を履き、3人でテントのポールを押さえ、危なくなったらいつでも小屋に避難できる体制で一晩過ごした。その間一睡もできなかったが明け方には、雨風も治まり外に出ると朝焼けの中、富士山が綺麗に浮かび上がっていた。その日は、台風一過の快晴になった。

 夏山では、様々なトラブルが考えられる。道迷い、熱中病、増水、雷、虫刺され、

などなど。危急時の状況をシュミレーションし、その対応を考えまたは、体験することが重要である。例えば、ビバーク時のツエルトの張り方などツエルトを持っているだけでなく、実際に体験することで安心にもなる。

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