2009年03月22日
昔を懐かしみたいことも,あるよね.
1.これはどのような展示であったかといいますと,(私の解釈が正しければ)「金沢美術工芸大学環境デザイン専攻/コースの学生が,”まちづくり”をテーマに制作した作品を集め,分析し,そこから浮かび上がる学生の関心領域や傾向,製作の場として選んだ地域空間の分布を見ることで,金沢のまちづくりにおいて若い人はどう動こうとしているのか,或いは我々はどう動いていけばよいのかを考えてみよう」というコンセプトのもと行われた展示でありました.
2.私がこれを見に行って面白いなー,と思ったのは,学生が制作した個々の作品の紹介ではなく,それを群として扱った時に見える傾向を読み解いてみこう,というコンセプトの部分です.
学生の製作で扱われている建物を用途別に分類したり,立地場所(建築系の設計演習では,自分が設計した建物の建てる場所を自分で設定することが多いです)を地図上にマッピングすることで,学生がまちをどのように捉えているか,まちの何処に価値を見いだしているのかが浮かび上がってきて,個別の作品を見ている時とはまた異なった面白さがあるなー,という印象を受けました.
3.では具体的にどのような傾向があったのか,と申しますと・・・実は,展示を主催した教授陣による正確な分析をよく覚えておりませんで.きちんと語ることができませんゴメンナサイ><
とはいえ,それではあんまりなので,「私が気付いた傾向」を以下に記しておこうと思います.
イ)雰囲気を維持したままの,中心市街地での居住性向上
ロ)都心と緑の結合,或いは住環境と緑の結合
ハ)文化発信拠点としての書店/図書館への着目
ニ)生活環境インフラとしての用水の価値肯定
まずはイ)について.
金沢は太平洋戦争で空襲を受けなかったこともあって,江戸期からの区割りの上に,明治〜平成までの建物が重層的に折り重なるという,見る人が見れば非常に興味深いまちになっています.で,里見町とか池田町,鱗町などがかなざわでいうと旧市街地で,古くからの町家があったりするのですが,土地が狭かったり立て替え時にセットバックしなければならなかったり,道路が不便だったりして,今ではかなり”虫に食われたような”まちになっています.
従来は,そういう土地の狭さやT字路の多発などは「直すべきもの」として捉えられていましたが,00年代に入ってからはそういった「ふつうの生活の風景」にも価値を見いだす風潮が出てまいりまして,美大生の作品の中にも,「ふつうの生活の風景」の維持,或いは雰囲気を維持したまま新たな人を居住に呼び込めるように住環境改善を行う,という提起がされた製作がいくつか見られました.
私は旧市街地に流れるとろん,とした時間が好きで,地元に戻った時は絶対市街地に古い町家を借りてSOHOにしてやろうと目論んでいる人間だったりするのですが,やっぱり生活の場の雰囲気は人が住んでいないと維持できないものでして,「不便だけど価値を見いだす,理解を示す」人を呼び込むだけでは場を維持するだけの原動力になり得ない,と考えています.だから,普通の人が「そこに住むことが普通」という感じで住むことができるようになってほしいし,そのためにはまちの側もある程度改善をしなければならないとも思っています(尤も,住む側の人間の意識改善は必要です.合理性一辺倒ではなく,カネにならない「場の持つ力」に面白さを見いだすような,見いだせるようにする教育をしてほしいよね,とか思ったりします).そういう意味で,風景としての町並みに維持に傾倒するのではなく,目には見えない「まちのにおい」の維持発展に重きを置いた提案があったのはいいなあと素直に思いました(ただ,「まちのにおい」を追求しすぎて建物のほうが脱構築しちゃってる製作もあったのは美大らしい微笑ましさですね).
次にロ)について.
このあたりは私の研究していきたいテーマでもありまして,菜園付住宅とか,近郊農村と出荷先としての都心部の店舗との循環とか,私のアタマで温めているネタにも言及した作品があって面白かったです(やはり,同じベクトルを向いていても思考が違えば着地点が異なるわけで,自分の脳をうにうにさせただけでは到達し得ない他者の着地点というのは,自分の思考にも取り込みやすいし気付きが多いから楽しい).
ハ)について.
これは金沢らしいなー,と思いましたね.といいますのも,金沢は45万都市にもかかわらず,ハブ図書館とでも呼ぶべき図書館が3館,分館クラスが2館あるという謎の図書館天国でありまして(うち1カ所は建設中),書店に関しても,都会の旗艦店ほどではないにせよ,そこそこの品揃えの店が市内各地にあるというまちになっています.そのため,書店は人が集まり,交わるところという印象を持ったのでしょうか,図書館や書店を地域文化の核と捉え,活字文化だけでなくそこに身体表現などの芸術性を加味した文化施設を設計した作品が散見されました.確かに,単に活字の殿堂にとどまっていたのでは,面白みはないですからねー.
ニ)について
排雪,農業,防火などに供される用水が金沢市内には巡らされておりますが,そんな,ほんの幅1mほどの用水を中心に据えた住宅地整備,というコンセプトもいくつか見られました.ウォーターフロントの開発,とか高速道路を撤去して川(清渓川)を復元したソウルの事例,ほど大げさではなく,普段の暮らしに水の息づかいを取り込もうとする感覚が垣間見えて,良いなあって思いました.
4.以上,年下による上から目線の報告でした.因みにギャラリー展示は4/19までやってるそーです.
2.私がこれを見に行って面白いなー,と思ったのは,学生が制作した個々の作品の紹介ではなく,それを群として扱った時に見える傾向を読み解いてみこう,というコンセプトの部分です.
学生の製作で扱われている建物を用途別に分類したり,立地場所(建築系の設計演習では,自分が設計した建物の建てる場所を自分で設定することが多いです)を地図上にマッピングすることで,学生がまちをどのように捉えているか,まちの何処に価値を見いだしているのかが浮かび上がってきて,個別の作品を見ている時とはまた異なった面白さがあるなー,という印象を受けました.
3.では具体的にどのような傾向があったのか,と申しますと・・・実は,展示を主催した教授陣による正確な分析をよく覚えておりませんで.きちんと語ることができませんゴメンナサイ><
とはいえ,それではあんまりなので,「私が気付いた傾向」を以下に記しておこうと思います.
イ)雰囲気を維持したままの,中心市街地での居住性向上
ロ)都心と緑の結合,或いは住環境と緑の結合
ハ)文化発信拠点としての書店/図書館への着目
ニ)生活環境インフラとしての用水の価値肯定
まずはイ)について.
金沢は太平洋戦争で空襲を受けなかったこともあって,江戸期からの区割りの上に,明治〜平成までの建物が重層的に折り重なるという,見る人が見れば非常に興味深いまちになっています.で,里見町とか池田町,鱗町などがかなざわでいうと旧市街地で,古くからの町家があったりするのですが,土地が狭かったり立て替え時にセットバックしなければならなかったり,道路が不便だったりして,今ではかなり”虫に食われたような”まちになっています.
従来は,そういう土地の狭さやT字路の多発などは「直すべきもの」として捉えられていましたが,00年代に入ってからはそういった「ふつうの生活の風景」にも価値を見いだす風潮が出てまいりまして,美大生の作品の中にも,「ふつうの生活の風景」の維持,或いは雰囲気を維持したまま新たな人を居住に呼び込めるように住環境改善を行う,という提起がされた製作がいくつか見られました.
私は旧市街地に流れるとろん,とした時間が好きで,地元に戻った時は絶対市街地に古い町家を借りてSOHOにしてやろうと目論んでいる人間だったりするのですが,やっぱり生活の場の雰囲気は人が住んでいないと維持できないものでして,「不便だけど価値を見いだす,理解を示す」人を呼び込むだけでは場を維持するだけの原動力になり得ない,と考えています.だから,普通の人が「そこに住むことが普通」という感じで住むことができるようになってほしいし,そのためにはまちの側もある程度改善をしなければならないとも思っています(尤も,住む側の人間の意識改善は必要です.合理性一辺倒ではなく,カネにならない「場の持つ力」に面白さを見いだすような,見いだせるようにする教育をしてほしいよね,とか思ったりします).そういう意味で,風景としての町並みに維持に傾倒するのではなく,目には見えない「まちのにおい」の維持発展に重きを置いた提案があったのはいいなあと素直に思いました(ただ,「まちのにおい」を追求しすぎて建物のほうが脱構築しちゃってる製作もあったのは美大らしい微笑ましさですね).
次にロ)について.
このあたりは私の研究していきたいテーマでもありまして,菜園付住宅とか,近郊農村と出荷先としての都心部の店舗との循環とか,私のアタマで温めているネタにも言及した作品があって面白かったです(やはり,同じベクトルを向いていても思考が違えば着地点が異なるわけで,自分の脳をうにうにさせただけでは到達し得ない他者の着地点というのは,自分の思考にも取り込みやすいし気付きが多いから楽しい).
ハ)について.
これは金沢らしいなー,と思いましたね.といいますのも,金沢は45万都市にもかかわらず,ハブ図書館とでも呼ぶべき図書館が3館,分館クラスが2館あるという謎の図書館天国でありまして(うち1カ所は建設中),書店に関しても,都会の旗艦店ほどではないにせよ,そこそこの品揃えの店が市内各地にあるというまちになっています.そのため,書店は人が集まり,交わるところという印象を持ったのでしょうか,図書館や書店を地域文化の核と捉え,活字文化だけでなくそこに身体表現などの芸術性を加味した文化施設を設計した作品が散見されました.確かに,単に活字の殿堂にとどまっていたのでは,面白みはないですからねー.
ニ)について
排雪,農業,防火などに供される用水が金沢市内には巡らされておりますが,そんな,ほんの幅1mほどの用水を中心に据えた住宅地整備,というコンセプトもいくつか見られました.ウォーターフロントの開発,とか高速道路を撤去して川(清渓川)を復元したソウルの事例,ほど大げさではなく,普段の暮らしに水の息づかいを取り込もうとする感覚が垣間見えて,良いなあって思いました.
4.以上,年下による上から目線の報告でした.因みにギャラリー展示は4/19までやってるそーです.

