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『喫茶の一族』でお世話になった著者の樺山さんに資料としてお貸ししていた2012年の『cafe sweets』が返ってきた。

もう10年前になるんだなぁという感慨深さと共に手前味噌な武勇伝が蘇った。

毎朝ポテトサラダ作って、営業始まってもサラダとかの仕込み(キャベツの千切りや野菜の型抜き)と、ハヤシライスやミートスパゲティ(オムライス兼用)のソースを作ったり、週替わりメニューの仕込みもして、時にはケーキ担当と共にケーキを作ったりしながらも、注文が入った料理は全て作ったし、オーダーごとにコーヒーも抽出して一日を過ごし、営業終わったら自家焙煎に向かった日々はいろんな意味でも若さ故に駆け抜けれた時間だったようにも思う。

そんな毎日を繰り返してあげくの果てには大事件を起こしてしまうのだけど、ボヤを起こして精神崩壊して、「休めっ!」と言われて体調不良(風邪)と嘘ついて初めてお店を臨時休業する時には貼り紙を父親に貼りに行ってもらった。

それでも次の日、お客さんのタメに休んではいられないと意地でも営業しにシャッターの閉まったお店の前に辿り着いた時、貼り紙の下にその時の常連のお母様から「お兄さん体調は大丈夫?…」という手紙と共に“はちみつレモン漬け輪切り大根”が入ったタッパーが一緒に袋でぶら下がっていて、思いがけない送り物を手にしてひとしきりに涙が溢れ出た事は忘れられない。
そしてその日、失態を知らず事情を知らない常連さん達に頂いた優しい言葉の数々は、正直に生きなければならないと痛感した日でもあった…。

『喫茶feカフェっさ』の月日は私にとって何ものにも代え難い時間だ。
それは『前田珈琲』という時間もそうである。

そして今積み重ねている『六曜社』での時間は、そんな月日を共にした沢山の人達への恩返しでもあれば、そんな沢山の人達が今でも私の心の支えとなり、姿勢を正してくれる大切な存在として居続けてくれているのである。

前田珈琲での時間は自分を磨かせてもらった感謝の意。

喫茶feカフェっさというお店は最高だったと思える数々のエピソードは私の無くしてはならない宝物。

六曜社の歴史やお客さんは勿論私にとっても大事な守るべきものに変わりはないが、私自身には六曜社以外にも関わる事が出来たお客様が居るという事実が、今、カウンターから眺める景色に対して何よりも繊細になる経緯だ。

毎日毎日、立派で居られる事も人間だから難しいのだけど、カウンターの中に立つと自然と居心地ややりがいを感じ『マスター』になる事に誇りを感じれるのは、更に思い返す20年という月日を、私はコーヒーとお客様と共に過ごしてきたからなんだと思う。

あの人は今どうしてるのかな?
あの子は今どうなったかな?

そんな事を想像出来る思い出と、そんな事は知る由もない現実はあれど、私がカウンターに立ち、コーヒーを淹れ続ける事でまた結ばれることがあるかもしれないという希望を胸に、これからも私は、これからのお客様とも結ばれるタメに、僕とあなたとその間のテーブルの上にコーヒーを届け続ける。

そして、そんなコーヒーを傍らに過ごす場を喫茶店という価値を通して、これからも数え切れない人に過ごしてもらいたいと切に願いながら、今日も明日も明後日もずっとこの先も共にしていけたらと歩むのです。