たったの、そう本当にたったの二日間共に『カフェの天使』は舞い降りた。

それは、お客様の時間と僕の心情も相まって生まれる本当に素晴らしいと感じる場面が空間として漂うことで、そう簡単に現れるものでもない。
ほんの些細な事で亀裂が入ってしまうほどに繊細なヒトトキは、まさに同じ場所を皆で作り上げているかのように、素敵な光景が広がる。

お客様の話し声や楽しそうな笑顔、はたまた本を読む真剣な眼差しに、イヤホンで音楽を聴きながら目を閉じる人。
年配の方や若者が入り交じり、世代を問わずテーブルを共にする皆さんの傍らにはコーヒーが介されている。
BGMが流れる店内には、食器が重なる音や新聞をめくる音さえ漏れ、従業員の声もこだまする。
そうやって皆で奏でる『喫茶的オーケストラ』は時として幸福を感じさせるかのように優しく響き渡るのだ。

六曜社が本来の姿を取り戻してまだたったの二日。
私達も抵抗が無い訳ではない中で再開した相席の緩和に、まずはお客様も受け入れて下さる方が多く、そういった中で両日共に感じることの出来たその醍醐味を胸に、私はやはり飢えていたんだと実感した。

今、素顔さえ知らない仲間達がいて、表情すら覗えない見知らぬ人も存在する。
すれ違う事でさえ何かを感じる事が出来ていた以前にはもっと感受性が生まれていたように思う。

無かった事にはしない。
無くなった物にもならない。
もっと言えば奪われてしまったモノコトさえある。

そんな昨今を大事に、やはりこれから新たな時代を大切に生きていかないといけないのだろう。

だから、一昔前を取り戻していくという感覚が、これからは非常に重要だと僕は感じている。
リスタートではないけれど、ただリセットするだけではなく、ただ前進するだけでもなく、受け止めて前を向く。

そうやってここからや、これからに繋げていかなければならないのだと思う。

たった数十席の小さな喫茶店にはまた、そんな事を感じさせてくれる光景が再び繰り広げられ始めています。

水槽の向こう、その黄金色のセカイにどうぞ勇気を持って足を踏み入れてみて下さい。

自信を持って言えます…。
こんな時代があったんだときっと気づけることを。
そんな場所が、皆様に存在価値を生み出していく事を細やかながらに訴えかけていけたらと思うのです。

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