T氏が彼女の態度に落ち込んでいるのを見たせいか、彼女が化粧室に行くと言って席を立ったので、私は家内に目くばせをし彼女の後を追わせた。テーブルで彼は両腕で頭を抱えながら天井を見ているが、声を掛ける事も出来ずに私は女性達が帰って来るのを待っていた。

 暫くして家内が先に戻って来たので話を聞くと、やはり周囲の目を気にして彼と踊るのが嫌だったと言うのが彼女の本音であった。冷たいようだが私は心を鬼にして彼にその事を伝えた。彼はその後暫く黙り込んでいたのだが、彼はカラオケのメニューを手に取り、次の曲を入れたのである。

 彼女が化粧室から戻ると同時に彼の曲が流れだしたので、彼はホール中央に立ち熱唱を始めた。さっきのはバラードだったが、今度はハードロックで、彼は有りっ丈のエネルギーを発散するかのように、一心不乱にハードに踊りながら歌っている。

 いつの間にか団体の学生達も彼に加わってホールで踊り出したのだが、彼が歌い終わると、店内はお客さん達からのアンコールの大合唱の渦に包まれ、なんと学生たちの中の一人の女の子が彼に抱き着いて来てキスをする始末。

 私はこのままその女性をナンパしてしまえば!と彼に向って叫んだのだが、彼の耳には全く届いていないようだ。それどころか多分女の子に抱き着かれた事すら気が付いていない様子である。私はそれとなく席に座って彼の歌を聞いていた彼女の方に目をやったのだが、拍手をする訳でもなく彼女はただ下を向いたままであった。

 店内はそんな感じで大フィーバーの最中だったのだが、彼の意向を尊重し、我々はカラオケバーを後にして帰宅したのであった。それにしても彼に飛びついてきたあの可愛い女性の事を考えると”本当に勿体ない事をしたな”と今でも後悔している私であるが、彼ならば今度はカラオケバーで引っ掛ける事も可能かなと思ったように、貴重な一面を垣間見させてもらった気分である。若いっていうのは良いね。


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