ロマンス大海原

翻訳ロマンス小説、ラブロマンス映画・ドラマの感想が中心

『独立軍の花嫁』パトリシア・ポッター著 橘高弓枝訳

【あらすじ】アメリカ、サウスカロライナ。独立戦争の戦火が激しさを増すある日、サマンサは交際を禁じられた恋人との駆け落ちを決意する。
しかしその駆け落ち決行の朝、恋人はサマンサの父との決闘の末死んでしまった。王党派の父に無理やり英国軍大佐との婚約を決められたサマンサは少年に変装して独立軍に参加することを決意し家を出た。独立軍に合流する前にサマンサは一人の傷病兵を助けることに。その傷病兵は父が殺した恋人の兄コナーだったのだ。素性を明かさぬままコナーを看病し、独立軍入隊後も行動を共にする二人。サマンサを少年だと思い、信頼を寄せ兄のように振る舞うコナーにサマンサは惹かれていくのだったが…。

お金もない一人の女性が決められた運命に抗うために愛馬だけを連れて家を出る…独立軍に合流するために

こういう設定だけでもドキドキワクワクの冒険物語だけれども、今作は「ロマンス」も!
これはもう…楽しい期待しかない
マリオン大佐など実在した人物も織り交ぜながらたくさんの魅力的な登場人物たちが登場し、物語を彩る

全てのことはサマンサ父から始まる。そういう意味でとても印象深い人物だった。
今は亡き妻を愛しすぎて、独占欲丸出しで彼女が友達を持つこともいい顔せず自分の娘も疎む…
いびつな愛の形
そして娘の恋人とのことを知り決闘したことで余計に娘の評判を落とし、求婚者がいなくなるという始末
この決闘でサマンサの父は、決定的にコナー・オニールから憎まれることになりサマンサの行く末に大きな障害を与えるし…
やること全てうまく行っていなかったね

サマンサのひたむきさや明るさは周りの人々の心のうちにすっと入り込んでしまい、すぐ味方にしてしまう
独立軍のマリオン大佐しかり、娼館のマダム・アナベルしかり…勿論コナーも

だからこそ
いつコナーがサマンサを女性だと気づくのか
いつ自分の敵と決めているサマンサだと気づくのか
気が気でなかった

コナーの人格についてはあのマリオン大佐やアナベルが太鼓判を押してくれているのである程度信頼はしていたのだけど
信頼厚いコナーでもやはり愛するものの前では恨みつらみも抑えなく吐露してしまう様子
そしていつも間が悪い…

「コナーは嘘が嫌いよ」と忠告されてはいてもサマンサもなんと切り出せばいいのかねー
それでも先延ばしにしてもいいことないし、ずるいなぁと思わなくもなかったけど
女性の行動の自由が制限されている社会の中では仕方ないのかな

いざ姿を消そうと思ってもすぐ見当がついて見つかってしまうのは果たして喜ぶべきことなのか悲しむべきことなのか…
そんなことを思った

コナーがちゃんと憎しみを越えられるのか…サマンサと向き合うことができるのかも興味津々だったが
…しかしいざ向き合うのが「今その時」なのか???というドタバタ加減も面白かった

最後の牧師さんのちょっとしたエピソードまで楽しかった『独立軍の花嫁』

fullsizeoutput_8a1
Swampfire by Patricia Potter 1988

余談だが文章表現なども今では書けなそうな表現があり、今となっては貴重だと感じる
その当時の人々はそう考えていたんだろうな、というのはいいことでなくても知っておいたほうが良いと思った

『一夜かぎりの花嫁』エラ・クイン著 高橋佳奈子訳

【あらすじ】両親を亡くした伯爵家の令嬢グレースには愛すべき7人の弟妹たちがいる。親戚たちによってバラバラにされそうになった家族全員が一緒に暮らせるように手を尽くしたグレースの労力は並大抵のことではなかった。その為、グレース自身は恋も結婚を諦めている。ある夜、グレースが立ち寄った宿に偶然初恋の人・ワーシントン伯爵マットも雨宿りの為に滞在していることを知る。恋も知ることのないだろう自分の一生の想い出に…と名前も明かさずマットと一夜を共したグレース。一方、この名も知らないレディにすっかり恋をしてしまったマットは、すぐにプロポーズをしようと部屋を訪れるが、もぬけの殻。彼女としか一生を共にしたくない!と、とにかく社交シーズンのロンドンで人探しを始めるマットだった…。

恋する人を見つけたい紳士と見つかるわけにはいかない淑女…メイフェアでの鬼ごっこの結果は!?

雨宿りの一夜が運命の分かれ道…やはり人智の及ばないアクシデントには物語がつきものね

グレースは一生懸命小さな弟妹たちを育て、しかも今シーズンはすぐ下の妹の社交界デビューが控えている
大変だけれど、弱音を吐くわけにもいかなそう(親戚の「ほら見たことか!」の声が聞こえる)
そんな時に訪れた「ただ一人の女性」になるチャンス…しかも初恋の男性の前で

マットは食事中に見せたグレースの器量にすっかり魅せられてしまい、すぐにもおつきあいしたい
→とにかく評判を壊してはいけない、と今夜は礼儀正しくお部屋までエスコート

一方のグレースはとにかく(!)
一生大事にする想い出が欲しいので行儀の良い態度がもどかしい
→ここは勇気を出すべき時、と暗い廊下を裸足で歩いていく

で、グレースはまぼろしのように消えてしまい…すっかり恋に落ちたマットは人相書きを書いてロンドン中の知り合いに配る始末
グレースも涙ぐましい努力をするけれど、ごくごく狭いメイフェアだし…
長い時間は稼げないわね

しかし、マットの熱心な求婚があってもどうしても「結婚」には踏み切れないグレースの心
結局最後まで逃げ続けていたような…でもそれも仕方ないか…自分の肩に小さな弟妹たちの人生がかかっていると思うと難しいのかもなぁ
結婚すると夫にその彼らの養育権が移り、もし夫が心変わりして寄宿学校に無理やり入れたら…とか考えてしまうよね
あと親戚の叔母が結婚への「善意のアドバイス」をしてグレースの心にさざ波が起こったり…

読者はマットのことを知っているから「マットなら大丈夫だよー」なんて軽く思っちゃうけどね
こういう小さな心配ごとに悩むヒロインって最近珍しいなーと新鮮だった

「結婚して大丈夫かしら」なんて悩みながらも身体は正直で(!!!)
あの夜の普段のグレースらしからぬ思い切りがあったから結婚を決意できたのかもね〜

マットにも扶養家族が4人いて、グレースの弟妹たちとのやりとりもとても楽しかった
一生懸命姉の幸せを願う弟妹たちの行動が微笑ましかった


ほのぼのした物語で、気軽に楽しめるロマンスでした
fullsizeoutput_89c
Three Weeks to Wed by Ella Quinn 2016

『アポロの光』バーバラ・カートランド著 新井ひろみ訳

【あらすじ】カボーニア国へ嫁ぐことになったいとこ・キャサリーンの侍女代わりとしてセオーラもかの国へ行くことになった。
ところが到着して数日後に、革命の火の手があがり突然の出来事にキャサリーンと伯父はセオーラを置いて逃げてしまった。外の様子もわからぬまま宮殿に取り残されたセオーラの前に現れたのは革命の指導者アレクシアス・ヴァシラス将軍。まだ完全に革命が成功したとは言えない状況の中、セオーラはヴァシラス将軍と行動を共にすることに…。

苦しい生活から抜け出すための一筋の希望の光…カボーニア国にとにかく行きたい!!(byセオーラ)

伯父の家に引き取られてから伯父からも伯母からもいとこからもいじめられ抜いている娘・セオーラ
その理由はセオーラの母が家出して家庭教師の父と駆け落ちし「血筋を汚した」から
こんなこと言う兄がいたらそりゃあ家を出るよね…とセオーラ母に同情したわ
しかし大事な娘を残して死んでしまうとはね…(泣)

何かにつけ意地悪され暴力さえも振るわれているセオーラなのだけど、根が明るいし、いつでも希望を失っていない姿に救われる

そして掴んだのがカボーニア国行き!
嫁ぐキャサリーンの侍女代わりについて行くことに決まり喜びを顔に出さないように気をつけるセオーラ

やっとカボーニア国の地を踏んだセオーラだったが、この国の様子もいびつで不幸オーラが蔓延している様子…
しかも最後の伯父の置き土産が酷すぎる…このままずっとセオーラは伯父の支配下なのか…
と思うとセオーラのためにも早く革命を!なんて気持ちに。

革命の指導者アレクシアス・ヴァシラスは頼もしくて、確かに国民が希望と頼む人だけあるなあという感じ
何と言ってもアポロの光、だものね

不安定な情勢下でセオーラは将軍と前線まで行動を共にし、勇気も持つ女性として描かれる
一丁の拳銃を持って前線へ、という描写もなかなか印象的!

ヒーローとヒロインのハッピーエンドも微笑ましいし、キャサリーンへの仕返しも面白かった(ささやかすぎとも思うが)

しかし革命まで起こしたのに
「君のことを考えるとカボーニアの為にしなければならない仕事も忘れてしまいそうだ」

って、ちょっと国民に聴かせられないわね(笑)ま、そこはご愛嬌

ヒーローのかっこよさ、ヒロインの良き娘ぶり、悪役の悪役らしさ
物語にぴったりハマる絶妙なバランスが素晴らしいかったなー

初めてのカートランド作品だったのではっきりそうだとは言えないけれどこれがカートランド作品の特徴なのかな、と。

軽妙であってきちっとツボをついてくる感じが楽しくて、素直に身を委ねて楽しもう〜と思える作品だった

fullsizeoutput_89b
Conquered By Love by Barbara Cartland 1977

カートランド・ワールドの扉を開けました〜
あぁ楽しい〜🎶

↑このページのトップヘ