ロマンス大海原

翻訳ロマンス小説、ラブロマンス映画・ドラマの感想が中心

『運命のエレベーター』スーザン・ネーピア著  佐久信子訳

【あらすじ】グレースはエレベーターに飛び乗った。ものすごい勢いで飛び乗ったため
乗り合わせた男性に怪訝な顔で見られてしまったが、とにかくこのまま下について何事もなく早く家に帰ることだけを考えていた。しかし運悪くエレベーターが故障。空調も止まり、気温が上がる。
暑くて具合が悪くなりそうなグレースはその毛皮のコートを脱ぐように勧められるがどうしても脱ぐことができない。なぜなら毛皮のコートの下は素肌だったからだ!しかしそうこうするうちに同乗していた男性に毛皮を剥ぎ取られてしまった。こんな恥ずかしい出来事、二度と思い出したくない…という思いとは裏腹にその同乗していた男性と後日再会してしまったグレースだった。

ちょっとやりすぎ?な男:スコット・グレゴリー

素肌に毛皮、という一風変わった登場のヒロイン・グレース。
年の離れた夫を三ヶ月前に亡くし、ビジネスに疎いのに後継者指名され亡き夫の会社の社長に収まっている。目下ビジネス勉強中。
そんな慌ただしい時期に何故素肌に毛皮だったのか…ちゃんとした理由はあっても人にあれこれ詮索されたくない。

なのに、その姿を見られてしまった!
しかもそこに居合わせた男・スコットは実はグレースの亡き夫の会社に興味を持つ経営者。

最初の顔合わせの時にそのことについて仄めかしたりからかってくるし、
これをネタに交渉を優位にしようとしているのかと苛立つグレース。

実際脅すようなことも言うスコットに、グレースは会社に興味があるのか自分に興味があるのか掴みきれない。

まぁもちろん狙いはグレースなのだけど。
配偶者を亡くして1年くらいは少しずつ仲良くしていくでもいいんじゃないの〜?なんて思うけどね
そうは問屋(?)が降ろさない

それからのスコットの攻勢はすごい。

グレースの通うビジネススクールに講師として招かれる

グレースの家庭教師を買って出る

グレースに料理を振る舞う

グレースの家の隣の部屋を買う(!)

とにかく彼女と一緒にいる時間を増やしたいのね…

そしてスコットはとても大きな贈り物をグレースに贈ることになるのだが
これはかなり驚いた!
(ハーレクインでは初めて読んだかもしれない)

信頼できる女性に初めて出会った喜びが爆発しているのはわかるがこちらからは
「お、落ち着けスコット」と声を掛けたい
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Secret Admirer by Suzan Napier 1992
ネーピア先生、設定が独特のものがあるわね。
ニュージーランドが舞台のものが多いらしいので読んでみよう。

『言えないことば』ジュディス・マクノート著  江田さだえ訳

【あらすじ】金曜日の夜、偶然に言葉を交わしたケイティとレイモン。二人は出会ってすぐに惹かれ合い、婚約する。
ケイティは精悍な顔立ちで強烈な男らしさを持つレイモンに惹かれているが、彼はプエルトリコで農業をやっており、その生活に馴染めるのか…そして自分のアメリカでのキャリアを捨て、家族から遠く離れて暮らしていけるのか不安に思っている。しかも、彼の物腰はただの農夫とも思えないような雰囲気を醸し出していてケイティは何かを隠されているような気もしている。
そんな不安を抱える彼女にレイモンは言葉と態度で彼女への真摯な愛を示す。彼の気持ちを受け取り自分も彼に応えたいのに、その「愛している」という言葉が喉の奥で凍りついてどうしても言えないケイティだった。

押して押して押しまくる男:レイモン・ガルベーラ・ビセンテ

出会って一週間弱で結婚を決めたケイティとレイモン。
あらためて読んでみたらこんなに早かったのか、と驚いた。
惹かれ合うスピードが速すぎる!!!特にレイモン。

ケイティの都合などおかまいなしに
「プエルトリコに行くから今週いっぱいでやめると言えばいい」
とは…ボス(だった人)はそれでいいかもしれないけれどねぇ…会社員はそうは行かないよね

ケイティが折り合いをつけて出した結論を「結婚の覚悟が出来ていない」と責めるレイモンに
もうちょっと相手のことも考えて欲しいなあと思うけど、責めるのは恐怖の裏返しだよね。

解放的な考え方を持つケイティのような女性が反発するようなこともバンバン言うレイモンだけど
とても真摯に気持ちを伝えるところにすっかりこちらがほだされてしまった。

「毎朝ケイティは目覚めるたびに自分が愛されていることを知るでしょう」
なんて!!

そしてマクノート先生らしく、婚約してからが正念場。

アメリカのお金持ちのお嬢さんが暮らしていた文化と彼の故郷プエルトリコの村の文化の違い。
パートナーとして対等であろうと振る舞うほど村で浮いてしまうケイティ。
行き違いが重なるたび本当にここで暮らしていけるのか不安も募る。
しかもレイモンとの結婚が近くにつれて彼女の過去の辛い記憶も蘇る。

だから愛しているのにどうしても「愛している」と言えない…

どうして言えないのかケイティも理由がわかっていないのだから
レイモンにはわかるわけもなく…辛かった


それでもケイティが僕の全て…と力強く、優しく愛するレイモンが素敵だった。
あんなに強引だったり男尊女卑的発言をしてしまったのも
色々と自信を失っている時だったからだろうな、と結末のレイモンの行動から思った。
とにかく、どんな状況でもケイティを幸せにしたいという意思表示だったのね。

でも(男の)プライドっていうのは難しいなぁ…
プライドを持つことが悪いこととは思わないけれど…
誤ってプライドの尻尾を踏んでしまって牙を剥かれたケイティにちょっと同情したわ
だって彼女はそのプライドのせいで本当のことを知らされてなかったわけだしね…
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Tender Triumph by Judith McNaught 1983
マクノート先生のデビュー作。レイモン、私的ベスト3に入るヒーローかも…


『海の匂いが好き』エリザベス・メリット著  宇津見悠訳

【あらすじ】広告会社に勤めるビジネスウーマンのジェシー。
両親の愛にも恵まれず、早すぎた結婚で失敗し、可愛がっていた夫の連れ子とも離れ離れ…と散々な経験により人間不信に陥ってしまったため、仕事だけに生きようと決意している。そんな彼女の前に億万長者のマーティンが現れる。
彼も不幸な生い立ちを背負っており、彼女を人間不信から何とか立ち直らせようと手を差し伸べる。その為に、仕事も兼ねて彼の所有する豪華客船のアラスカ航路クルーズにジェシーを招待。マーティンの優しさに少しずつ心を開いていくジェシーだった。


とにかく待てる男:マーティン・コールドウェル

昨日のヒロイン・オナーも心を開くまでに長い時間を要したが、
今日のヒロイン・ジェシーも相当深い傷を負っている。

肉親の愛情も得られず、最初の夫は今の言葉で言うと「モラハラ夫」。
その元夫の連れ子テディを可愛がっていたのに無理やり引き離されてしまった。
昔父親に捨てられたも同然の扱いをされて傷ついたのに(結果的に)同じことをテディにもしてしまった…と苦しんでいるのだろう。

3年前に仕事でマーティンに出会い、惹かれ、ベッドも共にするが
「愛は終わるもので心をズタズタにするもの」と信じて疑わないジェシーは何も言わずに立ち去る。

その後の再会から話が始まるのだが…
こんな過去があったらマーティンもジェシーを吹っ切れていそうなものだけど、
彼は全く諦めていなかった!

彼にも辛い生い立ちがあって、そっとやちょっとじゃ心を変えられない傷がある…と言うことが身にしみてわかっている

だから、待つ。

しかしただ待つだけではない。
仕事を頼み、外堀を埋めてからジェシーを豪華客船のクルーズに招待。
船中では時に誘惑したり、礼儀正しくもてなしたり…心を砕いて接する。

ジェシーも彼のことが好きだし、彼を求めていることはわかっている。
だけど思い切れない。

…といった様子が延々と続く。
読んでる方は
「思い切って飛び込んじゃえ!」なんて何度も背中を押したくなる。
しかしこの作品全編を貫く、ジェシーの逡巡こそが赤裸々で面白かった。

嫉妬する資格なんてない、と思いながらも他の女性と話すマーティンが気になったり
マーティンがいなくなると「私なんて大事じゃないのね」と絶望的な気分になったり…

こう書くと「なんか嫌なヒロインじゃない?」なんて思うかもしれないけれど
これこそ恋をしている最中の感情の揺れ、といった感じでとてもうまく書かれていると思う

こんなに頑ななジェシーをどうやって一歩踏み出させるのか…
最終的には

待たせた男:マーティン
だった

でもね、マーティンは何年も待ったんだものねー
少しくらい待たせてもバチは当たらないよ!

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Till we meet again by Elizabeth Merrit 1984
エリザベス・メリット先生の他の作品も読んでみたい、と検索しているのだが、
原書でもこの作品しか見つからず。別名義であるのかなぁ….

サンフランシスコ〜アラスカ航路…船旅の様子も興味深かった

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