ロマンス大海原

翻訳ロマンス小説、ラブロマンス映画・ドラマの感想が中心

『激動の時代のなかで』ローズマリー・ロジャーズ著 芦原夕貴訳

【あらすじ】時は南北戦争開戦目前、場所はミシシッピの大農園。上院議員を務めるキャメロンの父の客として現れたのは、黒髪のハンサムな男・ジャクソン。6年前、キャメロンが夢中になりあっさり捨てられた男でもあった。それから月日が流れても彼への想いを断ち切れていなかったことを思い知らされたキャメロンだったが、そんな個人的な思いをよそに周りの状況が刻々と変化していく。
とうとう南北で戦争が開戦し、父が北部を支持することで彼女自身も激動の時代に巻き込まれていくのだった。

向こう見ずなお嬢さんとなんでも運ぶハンサム船長さん…顔を合わせればケンカばかり!

ロジャーズ先生のアメリカンヒストリカルって聴いただけでも血湧き肉躍るのは私だけでしょうか?

南北戦争開戦直前のまさに「激動の時代」の中でしっかり踏ん張ってヒロイン張っていたキャメロン
危険を承知でなんでも運ぶハンサムな船長さんジャクソン
キャメロンとは姉妹のように育った使用人の娘・テイ

そして物語のある意味キーパーソンとも言える黒人奴隷でブードゥー教の巫女・ナオミ
彼女がキャメロンのことを「彼女ならやり遂げる」と信じたから私も彼女を信じることにしたくらい
説得力のあるキャラクターだった

上院議員の父の薫陶を受けて育ったキャメロンは当時の女性にしては外の世界の知識も持っている方だったけれど戦争開戦後は素直に首肯できない行動を取ることが多く、思わず「えー」と声が出てしまうことも
でも絶対に諦めないし、見捨てないという信念は素直に天晴れだった
ある意味向こう見ずなお嬢さんでないとできない馬力を見せつけられた

そういう強い信念を見せつける一方で、やはりとーーっても気になるのはハンサム船長・ジャクソンのこと
最初にされたジャクソンからの仕打ちに同情はするけれど、この時勢の中で相手が自分の思い通りに行動してくれないと悪くとったりするのはちょっといかんよ、キャメロン
 人にはそれぞれ事情ってもんがあるのですぞ

そんなじゃじゃ馬娘とバランスを取るように落ち着いた行動を取る娘・テイ
彼女はキャメロンのことをよくわかっていて
彼女曰く「キャメロンが人の意見を聞きたがる時はその意見が自分と同じ時」というのがとても鋭くて笑ってしまった
キャメロンのこういうところもジャクソンは好きなんだろうね

その当のハンサム船長さんは秘密の任務があるらしくいろんなところを飛び回っていて
はっきり言ってキャメロンを助けている場合じゃない!!なんて思ってるくせに
噂を耳に入れて先回りしてさらっと助けてくれたり…
キャメロンとはケンカばっかりしてる陰では色々と骨を折ってくれててさ…
頼れる男よね

最後は一応「まぁ…!ジャクソン!」なんて感じにはなっていたけども
もう少しねぎらってあげて〜キャメロン

正直、読み終わってすぐは息切れしてたけれど
やっぱり物語はこうでなきゃ!という力強さと高揚感を感じられて楽しかったな〜


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An Honorable Man by Rosemary Rogers 2002

ロジャーズ先生の既読が『ラブ・ジャングル』だけというのもすごく偏ってる気がするので(笑)
他の作品も読んでいくつもり
何がいいかな〜

『公爵の傷痕に優しい口づけを』テッサ・デア著 金井真弓訳

【あらすじ】戦争で負傷し火傷の跡が残るアシュベリー公爵はその怪我が理由で許嫁に去られてしまった。しかし必ず跡継ぎをもうけなければならない公爵は、偶然目の前に現れたお針子のエマに結婚を申込む。一方、エマにも事情があり便宜結婚を承諾した。結婚相手をよく知ろうと試みるエマに、「愛情不要、キスも触れ合いも不要、ただ子作りに集中するのみ」と冷たく拒む公爵だった …

オタマジャクシちゃん…きらめきちゃん…ウィーン風パン…メイフェアの怪物?!由々しき呼び名問題

妙な成り行きから結婚することになったアッシュとエマ
「愛情不要、キスも触れ合いも不要、ただ子作りに集中するのみ」
「子供ができたら田舎で産み、エマ一人で育てる」という条件で

この条件に半信半疑のエマだけど蓋を開けたらアッシュは本気も本気!

会話の糸口に、と「あなたをなんて呼んだらいいかしら」と話しかけても
「公爵かアシュベリー」と呼べ、とけんもほろろ(公爵って…)

他の呼び名で呼ぶことは許さないと身体の触れ合いだけでなく
一切の心の触れ合いも拒絶…
いとしい人、うさぎさん、かぼちゃさん…そんな親しい呼びかけで、心を守るために築いた壁を
壊されるのが怖かったのだろうな

身体の触れ合い、といえば初夜のやり取りで少し微笑ましい展開にはなるのだけど
なぜアッシュがそこまでその条件こだわるのか、がわかってくるとやるせない気持ちになった
もう傷つきたくない…という切実な願いが伝わってきた

こんな風に頑なになってしまったアッシュだけど、エマの持つユーモアが
少しづつアッシュの元から持っていた気質を引き出してきていてとても良いカップルだったな

エマには自分と親しくなるなと言ってもどんどん自分がエマを大事に思い始めることはやめられなくて
おそるおそるエマと心を通いあわせ始める感じもとても良かった

使用人たちのアッシュに対する姿勢やアッシュが話す様子からして早くに亡くしたお父さんが
とても良いお父さんだったんだなぁということも伝わってきた

愛情深く育てられたアッシュと愛情を求め続けていたエマ
また心が開けるようになったアッシュはエマにたくさん愛情を与えてくれるでしょう〜

一つ気になるのが、貴族のご婦人になると仕事を持つことができない、ということで
得意の洋服作りも家族の服を作るだけになるのか…というあたり
その後のエマの活躍も是非知りたい!

そして次作以降はエマが結婚後初めての社交活動で知り合った友人たちが活躍するそうなので
そちらも期待して待ちます
(そもそもどういう話題でエマがレディー・ペネロピーのお宅に招待されることになったのか興味あるのだけどね〜)

アッシュの年の離れた友達トレバーもまたどこかで登場してくれたらいいな

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The Duchess Deal by Tessa Dare 2017
[Girl Meets Duke]シリーズ第1作目


『遠い日の炎』ロビン・ドナルド著 富田美智子訳

【あらすじ】
父を亡くしたマーリンはスタンホープ一族に引き取られ、いつしかその家の息子ブレイズを愛するようになった。15才でブレイズと交際するようになったのだが17才になったある日、ブレイズのいとこに泥棒の濡れ衣を着せられ、挙句彼とも関係を持ったと嘘をつかれてしまう。ブレイズはただの一言も信じてくれず執拗に責め立てた。そんな苦痛に耐えかねたマーリンは家を飛び出した。妊娠していることは告げられぬまま。

あれから6年…大人になったマーリンは過去を吹っ切る為にブレイズと再会する

ロビン先生の久しぶりの文庫化にウキウキしながら読んだけれど流石のヒーロー…
そしてたった1行でヒーローの鬼っぷりをサラッと書いてしまう先生も流石…思わず二度見したわ
愛だか憎悪だかわからないけどそういう形で人にぶつけないで頂戴!
そりゃあマーリンも逃げ出すよね

そして6年ぶりに再会して、冷静に当時の誤解を解けるかと思っていたのに
まだまだブレイズの怒りの火は燃え続けていて、再会さえも後悔するくらい
よくいまだにあんなにフレッシュに怒っていられるよね

それでもやっぱりマーリンは吹っ切るどころか
私が愛しているのはブレイズだわ…
と痛いほど思い知る(ですよね…)

しかし自身の若さゆえの考えの至らなさと一途さゆえに前夫ポールを追い詰めてしまったことで
自分は幸せを求める資格はない、とも思っている
結婚の破綻は彼女一人のせいではないけれどね

少し冷たい言い方をしてしまうとポールはマーリンの物語のヒーローにはなれなかったんだよね
ブレイズの年若いガールフレンド・コラリー然り…

このコラリーとマーリンの関係もなかなか良くて…
世間的に見れば二人はライバルなんだけどそれよりマーリンは頼れる姉貴みたいになっていたね
彼女が若さで突っ走るところが昔のマーリンに少し重なって見えたり


やはり不可解だったのが
マーリンの疑惑はすぐに晴れたのに何故こんなにブレイズは怒っているのかということ

彼の長い長い告白を聴くと、ブレイズにも多少同情の余地があったね……
不幸なすれ違いというか…

ヒーローもエスカレートしたところは大いにあるけど
鳥の刷り込みのようにただ一人の男性しか目に入らなかったヒロインの
暴力的な純粋さで周りを巻き込んでいくところが読みどころだった

その純粋さに他ならぬヒーローも自身を試された感じだったね

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An Old Passion by Robyn Donald 1982

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