『ブルー・ジャスミン』ヴァイオレット・ウィンズピア著  細郷妙子訳

【あらすじ】画家であった亡き父が愛した砂漠を旅してみたい、と砂漠を訪れたローナ。父が住んでいた家は廃墟と化しており茫然としていると、突然盗賊が現れてローナに襲いかかった。そんなローナを助けたのは茶色にきらめく瞳を持った黒髪の男・カシムだった。砂漠の警備隊だと勘違いしたローナはカシムに自分が滞在しているホテルまで送って欲しいと頼んだが、彼が連れて行ったのは砂漠の中の彼のキャンプだった。

昨日の『シーク』から50年後に書かれたシーク・ロマンス。

誘拐されそうになったローナを窮地から救ったカシム。
最初の出会いの時、カシムは名乗り礼儀正しく接していたのに、
美しく強気なレディを目の前にしていたずら心を起こした、といった感じだろうか。

とにかくホテルには戻してもらえずカシムのテントに滞在させられることになったローナ。

行動が制限され、自由のない生活イコール奴隷である、という認識と
首長であるカシムのテントに招かれ、行動や言動が自由に許されているイコール賓客という認識のズレ。

彼女にしてみたら新たな窮地に追い込まれたようにしか思えず、威嚇するヤマネコのようになってしまうのも無理はない。

それでも彼女は一人砂漠に足を踏み入れたのだから、砂漠の掟は守ってもらうということなのだろう。
彼が街に彼女を帰そうとするまでは。

それにしてもカシムは優しい
行動には確固とした強さ、頑固さがあるけれど、話し方は物腰柔らかで、絶対に声を荒げたりしない。
いつもローナの目を見て心を覗き込むように話しかける。
話しかける言葉一つ一つがなぜか切なくて…胸がつまってしまった。

そして昼の砂漠、夜の砂漠、月光の冷たさ、夜明けの光…を見せるカシム。
自分が愛する砂漠の魅力にローナも魅せられて欲しいと願っているのだろう。

このしなやかな強さと優しさがとても魅力的だった

清純で強い意思を持つヒロイン・ローナも素敵。
さすがウィンズピア先生だわ。

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Blue Jasmine by Violet Winspear 1969
1983年に宝塚雪組で『ブルー・ジャスミンー砂漠の愛ー』として上演されたそう。