2010年09月

2010年09月26日 21:56

「相手が悪意で攻めるなら、こちらは善意で反撃しよう。憎しみによる暴力がはびこってるのなら、正しい力の使い方を教えてやろう。首なしラビッツというチームはね、戦時中にあり得なかった正義の味方なのさっ!」

ニーナとうさぎと魔法の戦車 (スーパーダッシュ文庫)
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 魔力爆弾。一人の男によって投下されたその悪魔の兵器は、長く続いた戦争を(表向き)終結させた。しかし爆弾が生んだ負の遺産――強大な魔力の影響により暴走した"野良戦車"の襲撃は人々の生存圏を脅かし、今尚不安定な世界情勢は人々の生活に暗い影を落としていた。

 これは一人の怒れる少女と、優しい大人たちの物語である

 

 大賞その2。こちらも素晴らしい出来。ジ○リ映画みたいなタイトルからは想像できないほど硬派で熱く、悲しく、それでいて優しい物語でした。

 戦う為の力を持ち、覚悟もあるが未だ子供であるがゆえの危うさをもつニーナに対して、きちんと導いてくれる大人達が存在することの幸福さに胸が熱くなりました。

 新人であるニーナを除く戦車隊の5人、エルザとクー、ドロシーとキキ等、多くを説明しないながらも、それぞれの関係性を感じさせる描写の数々は巧みの一言。さりげなく女の友情を越えてる感じがする操縦手&動力手コンビは特にツボでした(笑)

 「魔導戦車」の設定もよく出来ており、単に魔法によって動くメカというだけではないオリジナリティが感じられました。5人の戦車乗り――すなわち魔女が揃って初めて力を発揮するマシンというのが良く表現されていましたね。5人が死力を尽くして戦うラストバトルの緊張感は(敵役のトンデモぶりも合わさって)なかなかのものでした。

 まああのラスボスに関してはやはり賛否両論あるだろうけれど(戦車隊の面々もドン引きしてましたが)マドガルドの幼稚性と愚かさの象徴としては酷く納得できるものであったかなと思います。作中でまともな男キャラはドクターだけですねー。

 戦車を駆るのは魔力の強い女性、ということで登場人物のほとんどはうら若き乙女?ですが、媚びすぎない程度の華やかさが物語と上手く調和していました。戦車隊の中でも戦車には乗らないサクラなどは出番も多くないのだけど、それでも6人が揃っての「首なしラビッツ」なのだということが強く感じられました。

 「戦争という概念と戦う」というテーマに関しては若干つっこみが足りない感じもありますが、これ一冊で全てを語るものではないでしょうね。ただニーナの成長物語としてはこの巻だけでひとまずの完結を見ているため、続編は結構難しいかもしれません。

 バランスよくまとまった完成度が高い一冊。こちらも期待に違わぬ面白さでした。



 「電撃文庫秋の祭典2010」に行って来ました。物販とステージがメインのイベントだったので、限定本だけ手に入れて(行列待ちは30分程度)サクッと帰ってきました。しかし帰ってからパラパラ眺めてみるとロウきゅーぶ!くらいしか読むものが無いという……(笑) いかに自分が現在の主力作品を読んでいないかがわかります。

あなたがいて
わたしがいるなら
きっといつまでもおわりません

オワ・ランデ! ヤレない貴族のオトシ方 (スーパーダッシュ文庫)
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 「SD文庫の大賞作品はやはり一味違う」と再認識せざるを得ない作品でした。

 
 あらすじだけみるとその辺の一山いくらのエロコメのようですが、キャラにも、設定にも、そして全体の構成にも一本筋の通った骨太の内容。呼吸をするがごとくセクハラ発言を繰り返す直純と、容赦なく張り倒すロセリーのエンドレスな天丼ギャグを見ているだけでもそれなりに楽しめますがね。

 ひめみが話に絡んでくるのが遅いのはちょっと残念でしたが、その分メインであるロセリーは非常に魅力的なヒロインとして描かれていました。直純とレグリットの険悪だけど案外仲良さそうな感じも良かったです。そうか……関西弁は萌え要素か……

 魔術、異世界関連の設定はよく作りこまれてますが、その分よく読まないと今何が起ってるのかわかりにくいところが多少ありましたね。異世界の言語による呪文はなぜか関西弁に聞こえる、という設定には笑いましたが、最終的にちゃんと意味のあるものになっているのはお見事。

 シモネタ全開ですが、それでも綺麗にまとまった、読み応えのあるボーイミーツガールでした。続編は……あるかな? 三鳥居とか出番あれだけなのが勿体無い感じだけど、話的にはきっちり終わってるんだよなあ。

 もう一つの大賞も楽しみです。

2010年09月23日 19:12

「今回のバカ騒ぎの黒幕もおまえだろ」

「いいえ、すべての黒幕が貴理ですよ」

神なる姫のイノセンス 2 (MF文庫 J か 10-2)
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 わざわざ感想を書くタイプの作品でもないのですが(実際1巻のときは書いてない)意外と設定に面白いところがあったりします。

 所詮ハーレム物にリアリティなど不要! とばかりに徹底したご都合設定の目白押しだけれど、メリットに対するデメリットをきちんと展開でフォローしてくれるので白けずに読めるのがいいですね。具体的には「影ヒメ」の存在や今回の澪の行動など。ハルカのような元からアレな感じの娘よりも、澪のようなタイプが堕ちたときの行動の方が怖いというのは妙に説得力がありました。

 影ヒメに堕ちたまま主人公の味方?になっているハルカはなかなかいいキャラになっていました。ヒメガミは7人いて3人がまだ未登場なのだけど、現状で既にヒロインがオーバーフロー気味なのでどうなるかな。慧なんかカラーイラストやオビ裏からもハブられてるし。

 ヒメガミの存在とその能力は明らかに「敵」の存在を前提としたものである気がするけれど、最終的にはやはりバトル展開がメインになるんでしょうか。うーむ。

 「ヒメガミは嫉妬をしない」というヒロイン同士のバトル回避のための設定があるけれど、作中でもつっこまれてる通りあまり意味はなさそうですね(笑)

 なんだかんだでやっぱり貴理がラスボスっぽいな。攻略難度的な意味でも。

2010年09月20日 01:48

「……あんたは、悪い女になるだろうなぁ。十年後には、きっと、酒のような」

「褒め言葉と、取らせていただきますわね」

天使から百年2  天使から零年 (富士見ファンタジア文庫 の 1-1-2)
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 カイ無双。という言葉が思い浮かぶほど最初から最後までカイの独壇場であった。


 ラノサイ杯でも投票したお気に入りの作品でしたが、期待以上というか相変わらずこちらの予想の斜め上を飛び越えていくような作品でした。素晴らしい。

 1巻の時にも感じていたカイの強情さとユイカの脆さが顕著になってきましたね。特にカイ! 品行方正で控えめなお嬢様はいずこに、げに恐ろしきおなごとなりもうした……

 とにもかくにも、カイを筆頭とした登場人物たちの、強烈な感情の発露に圧倒される。飄々とした台詞回しとの対比が鮮烈です。

 展開上、カイとユイカの関係という面ではちょっと物足りない物もありましたが、要所要所でしっかり「絆」を感じさせる描写にニヤニヤ。まあカイはすっかり「彼」にご執心のようですが。テオードリヒとユウリの「暴走」コンビもいい味出してましたね。

 カイの印象が強すぎて正直話がいまいち把握できなかったんだけど(笑)色々と謎が明かされてはいるので次の3巻ではきっちり完結できそうですね。やっぱりもう少し続いて欲しいんですけど。

 それにしてもジャンセンはどこまで貧乏くじ引けばいいんだか……イキロ

2010年09月18日 18:49

「厳命ゆえ大人しくしておれば、春虎様に対してなんという非礼の数々。その愚行、もはや看過できぬ。わが愛刀の錆にしてやる故、大人しくそこに――」

「――なおるのはお前の方だっ!」

東京レイヴンズ2  RAVEN゛s NEST (富士見ファンタジア文庫 あ 2-5-2)
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 某すごい文庫のすごい大賞を読んでたけどいまいち盛り上がらないのでこっちに手を出してしまいました……

 ラノサイ杯でも支持の多かったこの作品。個人的には、夏目の設定にはやられましたが話の面白さはまだこれからかな?という感じでしたが、2巻で早速面白くなってきました。今年のあざの耕平は一味違う!

 1巻の主要キャラだった鈴鹿や北斗ははやくも退場してしまいましたが(正確には違うけど)タイトル通り東京に舞台が移ったことで2巻から本格的に物語がスタート、というところですね。ついでにキャラもどんどん増えてます。

 ストーリーはひたすらに王道を走っていますが、それでも非常に楽しく読ませるのは作者の力量ゆえか。お嬢のライバルにマスコットキャラ、解説メガネ君や胡散臭い教師と追加キャラも黄金律を感じさせる鉄板ぶり。これでしっかり面白いんだからすごいよなー

 夏目の要領の悪さと春虎のアホっぷりは相変わらず微笑ましく、そこにお嬢様の京子(ツンデレではない)が加わる事で絶妙な三角関係を形成しました。1巻に続いて最後の最後でいい設定を持ってきましたね。とりあえず春虎は死んどけ。

 新たに春虎の相棒となったコンも健気で可愛いけど物騒という読んでて飽きないキャラでした。冬児も夏目(北斗)との友人としてのやりとり等、狡猾だけど悪人ではないところが非常に良いですね。

 予告をみると3巻は早くも波乱含みの展開のようで、今後ますますの盛り上がりが期待できます。漫画に続いてドラマCDとすごい勢いで展開してますが、プッシュに見合うだけの実力があるシリーズですね。

 いい意味でクセが無いので広くオススメできます。

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