2014年11月
2014年11月26日 00:31
「つまり、さまざまな女性を好ましく思う人間であると」
方々で聖杯戦争といわれている通り、だいたいそんな感じな丈月城の新作。似ているとかそういう話じゃなくてあくまでガジェットの都合ですけど。
聖獣と呼ばれる神様みたいなものや魔法的な力が存在する世界で、現世に甦った英雄達が覇権を争うなんちゃって現代風戦記ファンタジー。正義感や使命感ではなく「野心」で行動するヒロインやまわりくどい葛藤は一切しない主人公など、異能アクションにありがちなジメジメしたところが全く無いのがよくもわるくも丈月城的。
一巻ではまだそこまで進みませんが話の基盤として「三国志」があるようで、君主であるヒロインの元に同志たちが集う流れになるとか。しかしこのままいくとなし崩しに関羽役である主人公のハーレムが形成されていきそうな確信が(笑)
自称・腹黒だが押しに弱い皇女さま(黒幕志望)や生真面目に見えて全くそんなことはないセクハラ英雄(記憶喪失)など、キャラクターの魅力はさすがの一言。ボスキャラ相当のカエサル様やエドワード王子も敵ながら愛嬌のある性格で憎めません。
ローマ帝国と英国の板ばさみになった日本で、皇女殿下率いる新興勢力はいかにのし上がっていくのか。スケールの大きい話になりそうで楽しみですね。こちらのシリーズでは「主人公の名前」が物語の鍵になるようですが、日本の武将限定ならさすがに17巻まで引っ張ることは無いかな(笑) ヒントはいくつか出ているとはいえまだ絞れるほどではないですが。
2014年11月23日 01:35
「妊娠してもらう! それがゼウスのやり方だ!!」
中国や梁山泊の参戦など、お楽しみ要素に関しては一旦脇に置いた感じの展開。やや拍子抜けなのは否めませんが他国の「王」たちもついに登場。表紙もメイン級のヒロインが一周りしたので、次回から本格的に新展開になりそうな予感。
他国の介入による休戦協定という形でひとまず収束した東西戦。局地的な勝利を収めた一樹たち東日本ですが、西日本を大和に奪われたままという現状は事実上の敗北といえるものでした。加えて東側にいるであろうスパイの脅威は未だ根深く……というわけで後顧の憂いを断つための戦いが今回のメイン。一樹にとっては味方を疑わなければならない辛い展開になりました。
ようやく実現した初デートで18禁の壁を越えかける(少し越えた)輝夜先輩も見所ですが、今回はやはりロッテ。身内のスパイ疑惑で悩む一樹を支えたり、気難しい神邑さんと早々に打ち解けたり。相変わらずの天使ぶりに加えて他国の「王」に正面から啖呵を切る凛々しさも魅せてくれます。マジ天使。
さておき、査察にきたロシアやイタリアが東日本と大和に求めたのは「正統な日本の統治者」としての証明。しかもその手段が「宝探し」という……一方的な被害者である東日本にとっては納得できない話ですが、なによりも宗教的・神話的な価値観を是とする他国とのカルチャーギャップを痛感させられることに。
移香斎との再戦・敗走から始まって、格の違いを見せ付けられる他国の王との衝突など今回の一樹は終始フルボッコ。逆にいえばまだ成長の可能性を残しているということなので、次回こそはやられっぱなしではない所を見せてもらいたいですね。反撃開始だ!
2014年11月08日 22:20
「私は変態ではない。探求者だ」
「恋する鬼門のプロトコル」の作者のものすごく久しぶりの新作。前作は妙にディープなネタが多くて面白かったと思います。
ファンタジー要素の無い現代学園モノで、アクの強いヒロインに目を付けられた主人公が色々事件に巻き込まれたりする系の、電撃文庫ではよく見るタイプ。全体的にキツめのシモネタが多いのがよくもわるくも特徴的ですが、レ○プ被害を捏造したり躊躇無く股間を触ってくるキ○ガイヒロインに可愛さを見出せるならわりと楽しめるかと思います。個人的にはまあ、アリ。
とあるヘンテコな理由から他人の「復讐」に手を貸す(といいつつ結局私怨だったりする)主役二人ですが、制裁方法のえげつなさはなかなかのもの。因果応報というにはちょっとオーバーキルすぎる気が(笑) 後半の被害者なんか色んな意味で再起不能に……
主人公が抱える心の問題など、最終的に強キャラの幼馴染みが力技で解決してしまったのはちょっと拍子抜け。とはいえ男としてのプライド(意味深)を取り戻した主人公と、永遠に失ってしまった池永君の対比が鮮烈すぎて印象に残るラストではありました。単巻完結っぽいけど、この状態から続くとどうなるかは気になるかな。主に主人公の下半身の安否が。
2014年11月01日 04:33
「――調子に乗ってんじゃねーわよ。立ち止まるな振り向くな手なんか差し伸べるな――今すぐ追いついて、その背中に飛び蹴りカマしてやるんだから――――ッ!!」
覚醒。
2巻から11ヶ月ぶりの続編。待たされたのは確かですが過去最大のボリュームと圧倒的な密度感を見せられると納得せざるを得ないかと。ちなみに今回から著者表記が「協著・暇奈椿」に変わりましたが(これまでは共著)、結果として大部分を榎宮氏が書くことになったからだとか。しかし今後もそうなるとは限らないという……
またマリー殿の目が死んでおられるぞー! というもはや芸風じみた状態から始まる前回の事件の続きですが、さすがに笑ってはいられない。誰でも知ってる理科の実験。強力な電磁パルスを受けた物体はそれ自体が「磁石」と化す。あらゆるものが歯車で構成された惑星でそんなことが起ればどうなるか、考えるだけでも恐ろしいですね。
しかしこんな時でも立ち上がるのはもちろん我らが変態・ナオトくん。愛する嫁(仮)と娘(仮)を傷つけられた彼の怒りはついに頂点に……! 巨大兵器を作り上げた技術者達の妄執と、無能な政治家達の空回りによる国家存亡の危機を、全て無かったことにするたった一つの冴えたやり方。「正義のテロリスト」としての本領を発揮する彼らの暴れぶりはとにかく痛快。二転三転する状況に最後まで目が離せません。またナオトがその異才をマリーに「伝授」する場面は、タイポグラフィの演出も相まって特に衝撃的。
行動不能に陥ったハルターに代ってナオト達に協力する「生首のオッサン」ことベルモットの活躍も今回の見所の一つ。勘違いしたハードボイルドぶりがいいキャラしてます。マリーに改造された新ボディもイラストで見てみたかった(笑) ほとぼりが冷めたら一行とは別れるようですが、今回だけで退場するのは惜しいキャラですね。惜しいといえばマリーの旧友である蓬子さまも何らかの形で再登場して欲しいところ。あのリューズさんですら素直に忠告を受け入れるというある意味最強キャラ……!
イニシャル・Yの再来。セカンド・イプシロンとしてその存在と力を世界に知らしめたナオト達。そして彼らが戦うべき「敵」。物語としてはようやく舞台が整ったというところでしょうか。このクオリティが維持されるなら1年1冊ペースでもかまわない……でも本音を言えば2冊くらいは出して欲しいかなと(笑) ノムラもあるのが悩ましいところですが。




