2010年02月28日 00:33
最後に笑うのは
「私。自分を見失っていたのよ。私の恋愛スタイルは『攻撃的な待ち』なんだって事を忘れていたの」
「攻撃的な待ち?」
「そ。邪魔な子はみんな排除」
ピーチガーデン 2.ハードラック・サクセション(角川スニーカー文庫)
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あらためてみると「満月の呪法」ってやつはなんて残酷な設定なんだろうと。恋人候補のヒロイン達はみんな必死で主人公にアプローチするけれど、実際には一人以外は全員ハズレ。そんな中で、ハズレである事がほぼ確定しながらも、決して折れることのないまかみさんの心の強さは(色々と歪んではいるけれど)本物なのだよな、と。
えー、でも俺としてはウサギ正ヒロイン説を推します。だってその方が面白そうだから(笑)
というわけで、待望の2巻目。ラノサイ杯でも投票したお気に入りのシリーズですが、はてさていかがな仕上がりか。
正直いって、前回は確かに大変な事になったけど、なんだかんだでなし崩し的にハーレム状態になってユルく続いていくんじゃあないかとか考えてました。うん。甘かったね……
前回の事件のあと、まかみさん提案の「リセットキス」によってズルズルと四角関係が引き伸ばされている現状。当然、ヒロイン達は心中穏やかでいられるはずもなく、隆は「爆弾処理」に右往左往する事に……
そしてそんな中で登場する四人目の恋人候補・山中シュン。「午(ウマ)」の血族で、かの尼子十勇士・山中幸盛の子孫というなかなかマニアックな設定の娘さんです。ちなみにポニーテール(馬だからね)。
そんな彼女が先祖から引き継いだ「七難八苦の呪法」と隆の「満月の呪法」が重なり合う中で浮かび上がってくるのは、呪法というものの理不尽さと、それに翻弄されるヒロイン達の悲喜交々。確かに、このままでいいはずがない。
うーん、しかしこの結末は切ない。結局、あの三人を敵に回して戦うには、シュンはあまりにも「普通の女の子」だったてことなんだろうなあ。アクの強くない良いヒロインだったので、次の巻でもなんらかのフォローがあるといいなあ。
つーか、まかみさんは今までこんなことをずっとやってきたのかと考えると背筋が寒くなりますが……それでもなんだかんだで可愛い人だと思えてしまうあたりが彼女の真の恐ろしさなのでしょうね。
意外にも…というかこの巻を読めばある意味納得ですが、次の三巻でこの物語は完結するようです。既に「運命の恋人」はほぼ確定しているわけですが、だからといって当然すんなりいく筈もなく、1巻以上にハードラックな自体が巻き起こる事でしょう。あとがきで「曖昧な決着にはしない」と公言されているので、ちょっと怖いですが期待して待ちます。
今のところ、候補3人はそれぞれに不利なところと有利なところがあるので、可能性としてはイーブンなのかなあ。まだ謎なことも多いし予想が付きませんね。楽しみです。