2014年03月23日 01:44
剣神の継承者VIII
「サーラの人生もいろいろあってねえ! もうすぐママになる予定だよ!」
「空の扉」の向こうから来た少女・ウィニア。エイジンの脅威により滅亡の危機に瀕したソーディアを救うため、剣聖・ヒョウカの技を受け継いだクロウに弟子入りを請う彼女だが、クロウは戸惑いを隠せない。そして相手が相手だけにうかつにセクハラも出来ず――それはそれとして剣の学園の文化祭が間近に迫る中、リーゼとの約束やウィニアの世話にも奔走するクロウ。しかし慌ただしくも平穏な(クロウ基準で)日常は、ソーディの二大迷惑巨頭・スイサーラとアミラルの襲来によって脆くも崩れ去るのであった。
これも一応は学園モノだったなあ、ということを思い出すような8巻。4巻あたりからほとんどクロウが学園に通ってなかったので……ただし文化祭という平和の象徴のようなイベントとは裏腹に、物語はついに決定的な破綻を迎える形となってしまいました。
孕みたガールという謎の属性をひっさげて再びクロウの前に現れたサーラ。そしてメカ剣帝・アミラルの期待を裏切らない迷惑ぶりときたら(笑) でもただのネタキャラでは終わらず、クロウとの決戦は非常に熱いものになりました。しかし剣帝のイラストが美少女すぎて……誰コレ。
周りに要注意人物が多すぎるせいか、自身のことには無頓着だったクロウが改めて自分の立場を(最悪の形で)思い知らされる話でしたね。ソーディ最強の七剣や死剣使い達と渡り合い、ソーディ政府とブレイズ、太陽教の戦いも彼を中心に回っている。そんな者が「ただの人間」であるはずがなく。当然ながら彼が目標としていたはずの平凡な暮らしなどもはやどこにもありません。
戦う理由を外に求めていたこれまでとは違う、クロウ自身の戦い――ひとえに生き残る為のシンプルな戦いがこれから始まります。それはきっと、大切なものを一つずつ(文字通りに)斬り捨てていくような修羅の道になりそうですが……
半ば崩壊してしまったハーレム体制ですが(笑) 行動を共にするウィニアとの関係が今後の鍵になりそうかな。元の世界に帰れる保証すらなくても、それでも故郷を救いたいと願う彼女の姿はクロウにとっても良い指針になるはず。しかし今回一番、真のヒロインっぽかったのはリーゼですね。クロウ君にはぜひともあらゆる困難を乗り越えて彼女もモノにしてもらいたい。